1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境倫理への哲学的人間学アプローチ(所有概念の検討を軸として)
Project/Area Number |
11410010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠 憲二 東北大学, 文学部, 教授 (20086119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 隆史 東北大学, 文学部, 教授 (40137758)
野家 啓一 東北大学, 文学部, 教授 (40103220)
清水 哲郎 東北大学, 文学部, 教授 (70117711)
熊野 純彦 東北大学, 文学部, 助教授 (00192568)
座小田 豊 東北大学, 文学部, 教授 (20125579)
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Keywords | 環境倫理 / 哲学的人間学 / 所有 / 景観 / 風土 / 空間 / 身体 / 現象学 |
Research Abstract |
今年度は、研究代表者、研究分担者が、各人のこれまでの研究成果を環境倫理ならびに哲学的人間学という観点との結びつきに留意しながら再確認するとともに、外部から関連研究者をも招いて、問題点の洗い出しをおこなった。その結果浮かび上がってきた論点としては、 1 環境倫理学の哲学的基盤を考えるさいには、世界に対する人間の働きかけ、行為の仕方を再考せざるをえず、そのときの基軸となる概念として「所有」の捉え返しが不可避であること。 2 環境倫理を現在的に考えるにさいして、とりわけ「景観」の問題との関連等からいって、地理学、とくに現象学的な立場を取りいれた現今の地理学の知見を斟酌することが可能であること。 3 これと関連して、この国における先行的な議論、特別に環境倫理を意識したものでないものにも学ぶべき多くの問題点が含まれていること。とくに和辻哲郎の風土論等の見直しが避けがたいこと。 などがある。環境倫理を問題とするかぎりでは、いかに原理的な考察を主眼とするものであれ、現在的で個別的な論点とのつながりを意識せざるをえない。その点では、とりわけ東北・仙台地区の住宅開発のあり方について、外国人研究者からの提言が注目される。それは、 4 この国の住宅開発は、アメリカ型居住空間を模倣するものを含んでおり、風土論的にいえばかならずしも適切なものとはいいがたいこと、 を骨子とするものである。この指摘に鑑みれば、以後の研究には(風土論をも内包しつつ)身体論と空間論とをなにほどか配慮する必要が生じてくるであろう。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 篠 憲二: "人間の転換的本質について"思索. 32号. 1-22 (1999)
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[Publications] 川本 隆史: "第3回厚生政策セミナー「福祉国家の経済と倫理」コメント2"季刊社会保障研究. 35巻1号. 39-41 (1999)
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[Publications] 川本 隆史: "経済学は人間生活の改良の道具たちうるか"GRAPHICATION. 105号. 12-14 (1999)
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[Publications] 川本 隆史: "自己決定権と内発的義務"思索. 908号. 15-33 (2000)
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[Publications] 座小田 豊: "精神哲学の成立"ヘーゲル哲学への新視角(加藤尚武編). 53-75 (1999)
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[Publications] 熊野 純彦: "存在の思考、倫理の思考"東北哲学会会報. 15号. 55-62 (1999)
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[Publications] 熊野 純彦: "レヴィナス入門"筑摩書房. 221 (1999)
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[Publications] 熊野 純彦: "レヴィナス移ろいゆくものへの視線"岩波書店. 287 (1999)