2000 Fiscal Year Annual Research Report
瞳孔反応に寄与する視覚情報処理過程に関する実験的研究
Project/Area Number |
11410023
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木村 英司 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (80214865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 治雄 千葉大学, 工学部, 教授 (20222242)
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Keywords | 瞳孔反応 / 視覚情報処理 / 色覚 |
Research Abstract |
前年度に引き続き本年度も、心理物理学実験と瞳孔反応実験を並行して行なった。 心理物理学実験:色相の知覚を媒介する視覚メカニズムに関する検討をさらに進めた。この研究は、色コントラストを時間的に変調させた刺激に順応する前と後とで、色刺激に対する色名反応の変化を検討するものである。これまで得られた結果は、赤-緑、黄-青といった色相メカニズムが単一の特性をもつという考えに反しており、また、電気生理学的知見に基づく網膜神経節細胞や外側膝状体の細胞の特性でも説明することができなかった。さらに、色コントラスト変調順応による色名反応の変化は、2次元での色の符号化によっても説明がつかないことから、色処理の中間段階(第一次視覚野以降)では非線形な色表現の変換処理がなされていると考えられる。なお、この研究成果は、日本心理学会第64回大会において発表した。 瞳孔反応実験:瞳孔反応に寄与する色度変化検出メカニズムについて検討するため、輝度の減少と色度変化をともなう刺激に重点をおきながら研究を進めている。通常、輝度の増加に対して瞳孔は縮小し、輝度の減少に対しては散大する。しかしながら、色度変化に対しては瞳孔は縮小することから、輝度の減少と色度変化をともなう刺激を用いることにより、輝度変化に対する瞳孔反応(散瞳)と色度変化に対する瞳孔反応(縮瞳)を切り分けることが可能となる。本年度は、こうした色度変化に対する瞳孔反応をより効率的に測定するために、刺激の大きさや、時間波形、持続時間を変化させて、最適な刺激条件を決定した。また、同時に、こうした瞳孔反応測定の基礎として、同様の刺激条件下で心理物理学的手法により閾値測定実験を実施した。現在は、こうした実験の結果をふまえて、色空間内のさまざまな方向に色度を変化させた刺激に対する瞳孔反応を測定するとともに、色コントラスト変調順応により瞳孔反応がどのように変化するかについて検討を進めている。
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Research Products
(1 results)