2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11410024
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
横澤 一彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20311649)
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Keywords | 視覚的注意 / 時空間特性 / 巡回系列順序錯誤 / 曲線追跡 / 負のプライミング |
Research Abstract |
視覚的注意の時空間特性の解明を目指し、巡回系列順序錯誤(MOD)、曲線追跡、負のプライミングなどの検討を行った。MODにおける視覚的複雑度や音韻情報の影響を漢字を刺激として検討した。音韻情報の利用を制限するため,読みを統一した結果,MODは消失した。視覚情報の利用を制限するため,読みを別々にし,回答を口頭で行った結果,MODが認められたが,複雑度の効果はなかった。この結果は,順序符号化の段階で音韻処理が積極的に利用される場合にMODが生起することを示している。次に、曲線追跡は、プローブ間距離は等しいにも関わらず、同曲線上と判断する時間がプローブ間の曲線に沿った距離にともない増加する現象であるが、曲線追跡における線分のまとまりの影響を検討し、注意を向けられた線分が標的となる場合に、注意の移動がないまま曲線追跡を行うことができるが、それ以外の場合には注意の移動後に曲線追跡を行う必要があるという結果を得た。線分刺激が持つ顕著性も操作した結果、顕著性も曲線追跡に影響を与えた。また、無視された先行刺激によって後続刺激の処理が抑制される現象である負のプライミングでは,無視刺激による干渉が大きいほど,抑制の効果も大きいことが予想された。無視刺激の文字を回転することが,文字の同定課題にクリティカルな表象レベルで干渉を低減する操作として有効であると考え、実験を行った結果,標的が正立,無視刺激が回転文字である場合には,干渉も負のプライミングも消失した。逆に,標的が回転,無視刺激が正立文字である場合には,干渉と負のプライミングの両方が生じた。この結果は,回転文字の無視刺激は文字表象レベルにおいて干渉しないために,文字の同定課題では抑制を受けず,ゆえに負のプライミングが消失したと説明することができる。抑制が無視刺激の干渉を防止し,標的の選択を効率化するための合目的的処理であることが示唆された。
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[Publications] 永井淳一,横澤一彦,高野陽太郎: "負のプライミングは回転文字によって生ずるか"心理学研究.
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[Publications] Y.Chiba & K.Yokosawa: "The effect of temporal lag for repetition in location and letter identity"Investigative Ophthalmology & Vision Science. 42・4(印刷中). (2001)
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[Publications] M,Suganuma & K.Yokosawa: "What regulates curve tracing?"Investigative Ophthalmology & Vision Science. 42・4(印刷中). (2001)