2001 Fiscal Year Annual Research Report
「思いやり」の互恵性と日本町自己の生成-暗黙の自己愛着と主観的幸福感を中心に-
Project/Area Number |
11410029
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北山 忍 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (20252398)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (60255940)
|
Keywords | 自己 / プライミング / 互恵性 / 思いやり / 援助行動 / 自己愛着 / 友人関係 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の成果を受けて、内田・北山(2001,心理学研究)が開発した思いやり尺度を精緻化するとともに、思いやりの互恵性仮説から導けるいくつかの予測を検討した。第1に、自己評価は他者からの肯定的なフィードバックによつて高まっている可能性がある。Leary & Baumeisterは、同様の可能性を指摘して、どのような社会関係を持っているかの指標として自尊感情が機能しているとしている。ここで自尊感情とは、明白に意識された明示的自己評価のことであるが、同様の可能性はそれとは意識されていない、暗黙の自己評価、あるいは暗黙の自己愛着についても成立する可能性がある。われわれは、この点に関して、ネームレター効果を指標に、日米両国の被験者に関して証拠を提示した。この成果は、2002年2月のアメリカ性格・社会心理学会総会で報告された。第2に、肯定的な対人関係に関与していることは、心理的適応感や幸福感を増進させるであろう。しかし、この効果は、他者からの思いやりなどが自己定位に大きく関わる日本をはじめとする東洋の諸文化で特に強い可能性がある。この分析に一致して、われわれ自身による先行研究は、幸福感の規定因として、欧米では特に自尊感情が重要であるが、日本、フィリピンなど東洋文化では社会的サポートなど良好な人間関係に関与することがより重要であることを示してきた。本年度は、この点をさらに検討し、同様の現象が中高年齢層でもみられること、また、社会生活の様々な状況を問わず、比較的安定してみられることなどをサーベイ法と日記法を用いて多角的に示した。これらの成果の一部は、2002年10月の日本心理学会総会で報告する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Morling, B., Kitayama, S., Miyamoto, Y.: "Cultural practices emphasize influence in the US and adjustment in Japan"Personality and Social Psychology Bulletin. 28. 311-323 (2002)
-
[Publications] Kitayama, S: "Cultural and basic psychological processes-Toward a system view of culture : Comment on Oyserman et al."Psychological Bulletin. 128 (2002)
-
[Publications] Kitayama, S: "Cultural psychology of the self : A renewed look at independence and interdependence"Psychology at the turn of the millennium. Vol.2. 305-322 (2002)