2000 Fiscal Year Annual Research Report
創発的思考における再帰とアナロジーの機構の認知心理学的研究
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11410030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
子安 増生 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70115658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 助教授 (70195444)
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Keywords | 再帰 / 囚人のジレンマ / ゲーム状況 / 心的状態の帰属 / アナロジー / 類似性 / 転移 |
Research Abstract |
1.再帰の研究 再帰の研究として、「囚人のジレンマ」とよばれるゲーム状況で「相手」(機械またはコンピュータのいずれかと教示;被験者間条件)とのインタラクションにおいて感ずる心的状態の帰属の違いを調べるため、大学生を対象に実験を行った。ゲーム状況は競争関係にあるハンバーガー・ショップの値下げ競争であり、値下げをした方が収益が上がるが、共に値下げすると共倒れになる。「相手」がとる戦略として「しっぺ返し」など8種を用意し、ランダム順に割り当てた。ゲーム試行後、「相手」の特性について性格語などの評定を求めた。その結果、「誠実な」「慎重な」「単純な」「暖かい」といった項目で、機械とコンピュータとの差が見られた。次の段階として、相手がこちらの考えていることを読み取っていることを想定させる場面を設定して同様の実験を行う。 2.アナロジーの研究 アナロジーの研究として、問題解決に及ぼす対象類似性とプラグマティック類似性、抽象的類似性の効果を比較するために、大学生の被験者を用いて2つの実験をおこなった。その結果、プラグマティックに類似したベース問題は、他の類似性に基づくベース問題に比べて、失敗からの学習(実験1)と競合事態(実験2)において、ターゲット問題への転移を促進することが明らかになった。
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[Publications] 杉村和枝,楠見孝: "多義動詞「ひく」の意味派生を支えるイメージスキーマの変容"表現研究. 71. 27-34 (2000)
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[Publications] Sugimura,K.& Kusumi,T.: "A container image schema and polysemous meaning in Japanese verb."Japanese Society. 4. 65-80 (2000)