2001 Fiscal Year Annual Research Report
社会的判断の国内下位文化による変動の研究:文化間変動因と文化内変動因の交差妥当化の試み
Project/Area Number |
11410036
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
東 洋 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60012548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (60255940)
宮下 孝広 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (00190778)
柏木 惠子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (10086324)
上村 佳世子 文京女子大学, 人間学部, 助教授 (70213395)
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Keywords | CAMI / 心の理論 / 集団主義 / プロセス志向 / 文化間比較 / 文化内比較 |
Research Abstract |
1.平成13年度内に4回の研究等議会を行い、外部の研究者をも交えて理論的モデルの検討と、新たに得られたデータの評価とを行った。当初、米国(カリフォルニア州サンノゼースタンフォード及びワシントンDC)と東京の間に見出された反応の差と同種同方向の差が東京と地方(山形県鶴岡、沖縄県那覇その他)との間にも見られ、いわゆる個人主義-集団主義の軸上で米国、東京、地方という序列をなすと予想したが、必ずしもそうはならなかった。たとえば努力の動因としてもプロセス志向についてはそのような順序になったが、その対概念として設定した達成目標志向においては東京が最も弱く、次いで日本の地方、そして米国でもっとも強いという形になった。また読み聞かせにおける親の主導性においては、強い順で沖縄(山形は未集計)、米国、東京となる。このことは、社会的判断における日米差も大都市一地方差も、集団主義対個人主義、近代性対伝統性などの少数の一般的2分法概念で説明されるものではなく、それぞれの文化圏における生活の実態と交互作用で考えられなければならないことを意味する。 2.CAMI班では平成13年度においては東京の住宅地区域のデータを補充し分析したが、西ドイツ、米国、東京、地方間の関係では特に従来と変わった傾向は見出されなかった反面、東京の中での学力関係の帰属や統制効力感に学校による変動がいちじるしいことが見出された。自己意識、「心の理論」についても追加資料の統計的整理を終わり、理論的検討をすすめている。 3.「心の理論」の発達においては東京地区がやや早い傾向がみられたが、言語的流暢性の差異による可能性も考えられるので、更に検討を要する。なお、平成13年度が最終年度にあたるので、各班から3月中に報告をもとめ、編集製本して最終報告として完成する予定である。
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[Publications] 宮下孝広, 真島真里, 東 洋: "小学生の学業成績を予測する認知的要因:他者との関係を含意する構成概念に注目して"発達研究. 15巻. 107-115 (2001)
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[Publications] 宮下孝広, 真島真里, 東 洋: "学業達成に対する統制感における文化内変動の説明の試み"発達研究. 16巻(掲載予定). (2002)
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[Publications] 柿沼美紀, 宮下孝広, 芳賀明子, 赤坂寅男, 久家義久, 東 洋: "社会的意思決定に対する理解・態度の発達に関する日米比較研究-構造的特質及び発達的特質"発達研究. 14巻. 95-102 (2000)
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[Publications] 柿沼美紀, 宮下孝広ほか: "社会的意思決定に対する理解・態度の発達に関する国内比較研究発達研究"発達研究. 15巻. 101-106 (2001)
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[Publications] 柿沼美紀: "母親の語りに見られる地域差の検討"母子研究. 21巻. 56-61 (2001)