2001 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害児における認知活動の感覚(視覚)的-言語的調整に関する研究-障害の多様性に対応した多水準的指導法の開発-
Project/Area Number |
11410037
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
鈴木 宏哉 長野大学, 産業社会学部, 教授 (70015436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国分 充 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40205365)
葉石 光一 長野大学, 産業社会学部, 助教授 (50298402)
大塚 明敏 長野大学, 産業社会学部, 教授 (60168987)
奥住 秀之 東京学芸大学, 特殊教育研究施設, 講師 (70280774)
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Keywords | 知的障害児 / 視覚認知 / 運動調整 / 言語 |
Research Abstract |
本年度の研究は、1)知的障害児の視覚認知の調整過程を、視覚探索課題を用いて検討する、2)知的障害児の運動行為の障害を定量的に評価する基準を整理する、というものであった。 1)知的障害児における視覚認知の調整過程 知的障害児は、視覚認知過程において短期記憶の問題、言語による行為の方向付けの問題等を要因とする困難を示す場合がある。こういった内的心理過程の問題を軽減する方法の一つとしては、外的に行為を方向付けていく工夫をすることである。そこで、本研究では視覚探索の探索目標となる刺激が自然と目に飛びこんでくるような刺激を用いた視覚探索課題を行い、知的障害児の視覚認知過程を検討した。その結果、軽度・中度知的障害児ではこういった刺激の特性が探索の成績と明確に結びっいているとみられたが、重度知的障害児では刺激の特性が探索の成績と直接結びついているとは思われなかった。重度知的障害児に対しては、刺激の特性が生み出す心理過程を全体として求められている行為に結びつけるための工夫がさらに必要であることが明らかとなった。 2)知的障害児における運動行為の障害の評価基準 昨年度までに知的障害児の運動行為の言語的調整について検討してきたが、本年度はその障害の程度を定量的に評価する基準の整備を行った。運動行為を言語教示により調整する課題を行ったが、その調整の程度をスティーブンスのベキ関数関係においてとらえた。とりあげた運動種は握力と歩行速度である。握力についてはスティーブンスが既にベキ関数関係を明らかにしているが、十分明らかにされていない個人間変動と個人内変動との関連について検討した。歩行に関してはベキ関数関係が検討されていなかった。前者に関してはベキ数が大きい者ほど個人内変動が大きいことが明らかとなった。後者に関してはベキ数が3.5〜4程度さあり、歩行に関してはこれまで報告されている他の運動のベキ数よりも大きいことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 鈴木宏哉: "いわゆる「内面世界」と神経科学"長野大学紀要. 24巻1号(印刷中).
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[Publications] 葉石光一, 奥住秀之, 国分充, 大塚明敏, 鈴木宏哉: "知的障害者の視覚探索における前注意過程と言語過程との関連"長野大学紀要. 24巻1号(印刷中).
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[Publications] 国分充, 葭岡晃世, 森田菜穂子: "Stevensのベキ関数におけるベキ関数の個人間変動と個人内変動との関係-握力にかんする心理量と筋力のベキ関数についての検討-"東京学芸大学紀要第1部門. 52巻. 171-175 (2001)
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[Publications] 峯岸昌弘, 奥住秀之, 国分 充: "人間の歩行速度調整とスティーブンスの法則"東京学芸大学紀要第1部門. 53巻(印刷中).
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[Publications] Kokubun M., Okuzumi H., Koike T., Haishi K., Suzuki H.: "Interpersonal and intrapersonal variance of exponent of power function observed in grip strength task"Perceptual and Motor Skills. Vol.93. 192-196 (2001)