1999 Fiscal Year Annual Research Report
フォーマライゼーションによる社会学的伝統の継承と刷新
Project/Area Number |
11410047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三隅 一百 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (80190627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳一 福岡大学, 人文学部, 教授 (20113243)
久慈 利武 三重大学, 文学部, 教授 (40024484)
高坂 健次 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60027977)
木村 邦博 東北大学, 文学部, 助教授 (80202042)
佐藤 嘉倫 東北大学, 文学部, 助教授 (90196288)
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Keywords | 社会学理論 / フォーマライゼーション / 数理社会学 |
Research Abstract |
3年研究計画の初年度になる本年度は、研究班ごとの電子メイルを中心とした情報交換と、3回の全体研究会を通して、以下の作業を進めた。第一に、古典的社会学諸理論の再吟味である。社会学の古典的潮流れをR.コリンズにならって大きく紛争理論、デュルケム理論、功利主義・合理的選択理論、ミクロ相互作用論の4つに分け、文献を分担・共同してレビューしながら、改めてそれらの諸理論における論点や命題を洗い直した。この作業は来年度も継続する。第二に、上記の作業と並行して、各メンバーのこれまでの研究および既存の数理社会学的研究と、古典諸理論との接点を再検討した。 その結果、まだ荒削りではあるが、階級論の基盤になる階級集団を移動クロス表から析出する新しい方法、紛争プロセスをフォーマルに記述・分析するための課題と方法、社会的分業や集合意識の議論に偏在する不透明な部分とそのフォーマライゼーションの可能性(とくにネットワーク分析との接点や、行為論的基礎あるいは関係選択の制約性に関する議論)、情報や信頼の概念を組み込むことによる合理的選択理論の再構成の可能性、ゴフマン理論のゲーム論的定式化の可能性、個人の内的葛藤のフォーマルな分析の可能性、等が示唆され、それぞれの可能性について具体的なアプローチの方法が議論された。また、属性や意識等の「分布」の問題が、意外なところで古典的諸理論に関わっていることも、明らかになってきた。 次年度はこれらの成果をふまえつつ、論点の絞り込みと、より具体的なモデル展開を試みる。
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