2001 Fiscal Year Annual Research Report
労働力市場の国際化と地域社会の再編成-北関東における企業の海外移転と外国人労働者
Project/Area Number |
11410059
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小井土 彰宏 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (60250396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40302335)
|
Keywords | 外国人労働者 / 産業空洞化 / 産業集積 / 地域労働市場 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、外国人労働者の統計分析、および外国人雇用企業の工場調査と外国人への聞き取りと質問用紙調査を行った。第一に、統計分析では、2000年度に実施された国勢調査データを利用し、茨城県内での外国人居住の最新の動向を分析した。加えて、全国の都道府県別、および市町村別の外国人データを分析し、その分布の傾向をGIS(地理情報システム)ソフトを利用し分析した。これを通して、90年代に外国人が増大した市町村は、製造業被雇用者数の変動において特定の水準の地域に集中することが明らかになった。茨城県西部・南部はこのような地域類型に属している。第二に、工場調査では外国人を多く雇用する特定電子産業や食品加工業の重層的な構造に対応する聞き取り調査を行った。これらの調査から、この地域の企業が国際競争の激化の状況下、海外移転という選択肢を取らずに国内生産を継続するには、高付加価値化の追及のみならず、製品の急激な変化や多様化する顧客ニーズに即応する生産体制を国内で形成し、この時間的・空間的に圧縮されたシステムの維持のために不規則・長時間・短期間雇用を可能とする外国人労働者が重要な機能を果たしていることが明らかになってきた。第三に、労働者に対する調査票に基づく調査では、外国人労働者の労働と生活を時一空間的に把握するために、居住と就労の時系列的な変化をデータとして収集するとともに、労働者の就労と生活の時間帯に関して聞き取り調査を行った。これらを通じて、空間的には長期の構造不況下で、外国人労働者が地域的移動しながら雇用機会を求めることで分散化してきた経路の類型化を行った。時間的次元では、上記の産業再編成に対応した就労形態によって家族生活に大きなストレスが生じてきていることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)