2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパの社民化動向とその国々の教育政策の変容に関する総合的研究-日本の政治・教育への影響という視点を含んで-
Project/Area Number |
11410076
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 星児 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70223253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野田 正利 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (60169349)
宮崎 正勝 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (80241834)
佐藤 学 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70135424)
GRIEK Lyckle 留学生センター, 講師 (30294606)
小玉 亮子 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (50221958)
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Keywords | 社会民主主義 / ヨーロッパ / EU(欧州連合) / 日本 / 教育政策 / 新自由主義 / フランス / 北欧思潮 |
Research Abstract |
○第1年度に引き続き「歴史的・理論的研究」班は、北欧起源(仮説)でEU諸国を中心とする現ヨーロッパに広く胎動している<新しい社会民主主義的意識;a renewed social democratic consciousness>(Gent大学;Koen Raes教授)が、<エコノミーとエコロジーの両立>という普遍的課題に直面する21世紀の全世界に-また、とりわけアジアとのsustainableな共生圏を構築したいと願う日本の今後の政治・教育の面に、どのような深い影響を与えうるかを集団討議で探求した。他方、「各国教育分析」班は、仏・英・独・蘭4ヶ国について教育制度と改革動向、及び教育実践の現状と課題の探求を継続し、英と蘭については現地の教育行政当局や学校の訪問も行った。以上の各研究成果は学会・専門誌等で逐次発表している。なお、外国での資料収集には電子データファイルが必携と悟り、今後の調査のために2台購入した。 ○第2年度の研究・調査活動において新たな展開を見た面が2つある。即ち、(1)最近のEUとASEAN等との文化・経済交流の急速化を反映した、アジア諸国におけるヨーロッパ研究のリソースの豊富さ(大学のヨーロッパ研究者の増加、データベースの充実等)。この「発見」から本年度は、その中でも特に充実しているシンガポール大学等のデータベースを訪問試用し、また優れたヨーロッパ研究者と情報・知見を交換して、今後の本研究のためのリソース整備を図った。(2)<ヨーロッパ>の本質とは何であったのかの歴史的・理論的探求の討論の中で、アジアの旧ヨーロッパ植民地社会(旧・仏領カンポジア、英領シンガポール等)の視点から見たヨーロッパの社会像の再点検は不可欠との結論に達し、そのための政治構造・教育類型別のアジア数か国の調査を急遽組み入れた。 ○その他、当初からの課題であった米国における北欧系社民思想の移入・消長の事情を実地に調査して、成果を得た。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Seiji Inoue: "The Humanities : Regaining Ground Lost to Economic Rationalists"The Asia and Pacific Conference on Education and Culture (issued by the University of Asia and the Pacific ; Pasig City, Philippines). 5th vol.. pp.70-72 (2000)
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[Publications] Seiji Inoue: "Human Studies in Digital Age : Confluence and Influence Between Humanities and Technology"Human Studies and Criticism (issued by the Association of Hmanities Centers of Korea ; Daeg, Korea). Vol.1,No.1(forthcoming). pp.10-25 (2001)
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[Publications] 佐藤学: "教育改革における新自由主義のレトリック"情況(情況出版). 4月号. pp.6-18 (2000)
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[Publications] 佐藤学: "公共圏の政治学-両大戦間のデューイ-"思想(岩波書店). 1月号. pp.18-40 (2000)
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[Publications] 沖清豪: "イギリスの教育行政機関における公共性-非省庁型公共機関(NDPB)とそのアカウンタビリティ-"教育学研究(日本教育学会). 第67巻第4号. pp.1-9 (2000)
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[Publications] 野原光: "冷戦体制崩壊とグローバライゼイションの時代における社会批判の能力回復を模索して-ヨーロッパ統合と日本-"21世紀フォーラム(横浜市). 12号. pp.11-18 (2000)
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[Publications] 井上星児: "『日本大百科全書』(Nipponica);その中の「パリ大学」「ソルボンヌ」「エコール・ポリテクニック」「EU対応の大学」等、フランス高等教育関係の7項目を執筆"小学館(書籍版及びDVD版等あり、未詳). (2001)
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[Publications] 宮崎正勝: "『早わかり・世界近現代史』"日本実業出版社. pp.354 (2001)
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[Publications] 小玉亮子: "清水賢二編世界のイジメ所収;ドイツにおけるイジメ"信山社. 208 (2000)
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[Publications] 野原光: "野原光編著社会環境の変化と自動車生産システム-トヨタ・システムは変わったのか-"法律文化社. 283 (1999)