2001 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法理論による文法の各モジュールにおける最小化に関する統合的研究
Project/Area Number |
11410121
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 潤 東北学院大学, 文学部, 助教授 (40269444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須川 訓也 東北学院大学, 文学部, 助教授 (80254811)
大石 正幸 東北学院大学, 文学部, 教授 (00168858)
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Keywords | 韻律構造 / 分節構造 / 有声性同化 / ミニマリスト・プログラム / 裸出力条件 / 言語の不完全性 / 線形順序 / 語彙挿入 |
Research Abstract |
阿部潤:ミニマリスト・プログラムめ観点から、裸出力条件と言語の完全性との関係を主題テーマとして、言語が持つ線形的特徴と移動特性に関して昨年度から引き続き検討を加えてきた。これらの二つの特性を言語の不完全性を示すものであるとするチョムスキーの見解に対して、私見を述べたものが「研究発表」欄に記載した論文の中に収められている。また、ミニマリスト・プログラムの中でも主要なテーマの一つに挙げられる「いったいどのようなタイプの移動規則が統語部門に最低限認められる必要があるのか」について、特に日英語の疑問文形成規則を比較検討することによって、研究してきた。その成果は研究報告書に掲載されている。 大石正幸:ミニマリスト・プログラムの言語研究の指導理念としての概念的・哲学的基盤を検討し、実際に想定される仮説群および理論装置の妥当性を検討したきた。とりわけ統語部門における語彙挿入と書きだしのタィミングに関わる諸想定を考察した。その成果は、まだ論文の形ではまとめ上げられていないが、マサチューセッツ工科大学での短期研修や東北学院大学での科研費を利用した講演会などを通じて、研究者と意見交換を行うことができ、自分が取り組むべき問題をより深く掘り下げて検討できた。 那須川訓也:極小主義の立場から、音韻部門における諸範疇および構造の見直しを行った。主に、(i)、自然言語で広く観察される有声化現象と(ii)日本語などで観察される高音調同化現象に焦点を当て、既存のメロディ範疇数の削減と音韻構造の単純化を試みた。(i)の研究では、有声阻害音有声化と鼻音後置有声化にみられる方向性の違いを韻律構造上の強さとメロディ構造の複雑さから説明し、その成果は研究報告書に掲載されている。(ii)に関しては、大石正幸と共同研究し、アクセント・マーカーという単位を排除し、既存の高音調範疇と韻律構造の関係から高音調同化現象の説明を試みた。この研究は5月にマサチューセッツ工科大学で開催されたFAJL3で口頭発表し、MITから出版された。
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[Publications] Jun Abe: "Bare Output Conditions and Language (Im) perfections"意味と形のインターフェイス中右実教授遷暦記念論文集. 単行本. 587-597 (2001)
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[Publications] 那須川 訓也: "英語名詞の複数形形成にみられる音韻現象"言語研究論考 99/00. 第2号. 1-34 (2001)
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[Publications] Kuniya Nasukawa: "The melodic vepresentation of nasality in Element Theory"東北学院大学英語英文字研究所紀要. 第30号. 1-19 (2001)
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[Publications] Kuniya Nasukawa, Masayuki Oishi: "Inaccessibility of the clomain-initial nucleus in high-pitch agreement"Formal Approaches to Japanese Linguistics. 第3号. (2001)