2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトゲノムの研究・応用における法と倫理の調査・研究-特に国際的視点から-
Project/Area Number |
11420006
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
位田 隆一 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40127543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 國寛 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027070)
前田 達明 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00025149)
田中 成明 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90025148)
熊谷 健一 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (20264004)
吾郷 真一 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (50114202)
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Keywords | ヒトゲノム / 遺伝子解析 / 倫理指針 / ゲノム特許 / クローン / 遺伝情報 / インフォームド・コンセント / 倫理委員会 |
Research Abstract |
まず昨年度に引き続き、所定の役割分担にしたがってヒトゲノム研究に関する各国の国内法令や倫理ガイドライン、関連報告書等の収集を行った。同時に、本研究の進行と並行してわが国政府による重要な倫理規範策定の諸作業が行われ、研究チームの助力を得て研究代表者位田をはじめ、分担者上田、中村が直接間接にこれらに参画した。位田はいわゆるクローン技術規制法の国会審議に際して二度にわたり参考人として意見を述べ、また中村とともに科学技術会議生命倫理委員会の「ヒトゲノム研究に関する基本原則」の策定に携わり、実質的な起草者の役割を果たした。田中は同委員会委員として本研究に基礎をおきつつ議論に参画した。また位田は昨年度からいわゆる遺伝子解析研究に係るいわゆるミレニアム指針の検討に参加し、さらに今年度は上田とともに4省庁(現3省)共通のヒトゲノム・遺伝子解析研究指針の策定に貢献した。熊谷は特許の問題について、医療行為との関連で検討を重ね、海外調査も行っている。前田は遺伝子解析研究と医療におけるその応用の法的位置付けに配慮しつつ、医事法教科書をものにし、吾郷はILOと比較しつつユネスコの宣言のフォローアップ措置を検討した。中井は本年度については特に論考は発表しなかったが、上記の規範策定作業を人権の側面から理論的支えを提供した。このような実際の規範策定作業への参加は、本研究が当初から抱いていたように、学問的研究にとどまることなく積極的に社会に貢献するとの目標を実現した。 他方で、各研究者はチーム内での意見交換はもとより、外部のシンポジウムなどに積極的に参加して、研究成果を発表している。また収集した資料を整理して、本研究の成果を京都大学法学研究科の位田のHP(http://www.law.kyoto-u.ac.jp/ida)の形で発表し、一般の利用に供し始めている。
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[Publications] 位田隆一: "ユネスコ『ヒトゲノム宣言』の国内的実施-人クローン個体の産生禁止-"法学論叢(京都大学). 146・5-6. 45-65 (2000)
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[Publications] 位田隆一: "ゲノム医科学における倫理規範の策定と倫理審査制度"実験医学. 18・12(増刊). 192-195 (2000)
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[Publications] 位田隆一: "ヒト組織・細胞のクローン利用-その法的倫理的問題-"遺伝子医学. 4・2. 62-65 (2000)
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[Publications] 位田隆一: "<解説>「人の尊厳に反する」行為 最高懲役5年、罰金500万円"サイアス. 5・6. 35-37 (2000)
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[Publications] 位田隆一: "<座談会>ゲノム科学の新展開-ヒトゲノムを中心に-"学術月報. 53・8. 48-73 (2000)
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[Publications] 位田隆一: "ヒトゲノム研究をめぐる法と倫理-ユネスコ「ヒトゲノム宣言」を手がかりとして-"法学論叢(京都大学). 148・5-6. 121-142 (2001)
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[Publications] 位田隆一: "クローン技術と生命倫理"科学技術ジャーナル. 10・3. 22-23 (2001)
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[Publications] 前田達明: "医療水準"医療の基本ABC. 123・12(特別). 126-129 (2000)
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[Publications] 上田國寛: "遺伝病の診断と生命倫理"現代医学の基礎. 9. 179-199 (2000)
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[Publications] 上田國寛,田中静吾: "ポリ(ADP-リボース)はアルツハイマー病と関係あり(?)"ビタミン. 74・7. 381-382 (2000)
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[Publications] 上田國寛: "遺伝子診断の現状と将来"第43回日本臨床病理学会近畿支部総会・抄録集. 41-42 (2000)
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[Publications] 上田國寛,竹橋正則,田中静吾: "<トピックス>神経:神経変性疾患におけるα-シヌクレインの病因的役割"最新遺伝子学2000(最新医学9月増刊). 204-213 (2000)
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[Publications] 上田國寛: "遺伝子診断と21世紀の医学"第17回Japan Immunology Seminar・抄録集. 4-6 (2000)
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[Publications] 中井伊都子: "ヨーロッパ人権条約における国家の義務の範囲"国際法外交雑誌. 99・3. 1-30 (2000)
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[Publications] 熊谷健一: "特許法改正の現状と課題について"21世紀における知的財産の展望. 177-197 (2000)
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[Publications] 熊谷健一: "ゲノム研究成果物の保護のあり方"ジュリスト. 1193. 57-62 (2001)