2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11420008
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
山下 友信 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10107485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宏志 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40009832)
藤田 友敬 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (80209064)
落合 誠一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80009852)
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Keywords | 責任保険 / 不法行為 / 損害賠償責任 / D&O保険 / 民事責任 / 直接請求権 |
Research Abstract |
本研究の最終年度である平成13年度においては、3年間の研究の総括として主要先進国の責任保険法の動向をふまえてわが国における責任保険法の解釈論的及び立法論的提言をする研究論文の執筆に力を注いだ。前者の成果が、「英国責任保険法の改革」と題する山下友信の論文である。英国では1997年以来、責任保険における第三者(被害者)保護を図る1930年第三当事者法の改革のための検討が行われ、2001年7月に最終報告書が公表された。この英国の検討作業は責任保険法のあり方に関する現在最も先端的で包括的な立法論的検討を行うもので、わが国における責任保険法のあり方にも多くの示唆を与えるものであり、山下の前記論文ではこの英国の動向を詳細に検討した。さらに、わが国における責任保険法のあり方に関する提言として、「責任保険法の再検討」と題する論文を山下において執筆した。そこでは、責任保険における第三者保護措置として、自賠責保険にみられる第三者の直接請求権を一般化するというような従来有力であった立法論には無理があること、しかし、被保険者(加害者)が支払不能状態にある場合における保険金に対する第三者の優先権の保障は不可欠であり、そのための立法論および立法が実現するまでの解釈論を提言した。しかし、多数多額の被害が生じ有責企業が倒産状態になるような深刻なケースではさらに倒産処理のあり方とも関連して解決を模索する必要があることも明らかになり、論文の完成にはなお若干の期間を要する。このほか、責任保険に関する研究の一貫として、とくに近時急速に普及した会社役員の責任保険(D&O保険)についての研究をすすめ、これに基づき山下および藤田の両名で当該保険の約款の重要条文に関する注釈の形で研究成果をとりまとめた。
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Research Products
(1 results)