2001 Fiscal Year Annual Research Report
行政計画における意思決定構造と組織学習の動態的連関についての研究
Project/Area Number |
11420013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 朗 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80134344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城山 英明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (40216205)
田辺 国昭 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40171813)
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Keywords | 影響力構造 / 危機認職 / 制度改革 / 地方財政 |
Research Abstract |
本年度は、一昨年度及び昨年度実施した自治体調査のデータの解析を通じて、現在の地方財政制度の抱える問題点の抽出を試みるとともに、地方財政に関わる理論化を行った。 地方交付税制度、地方税制度、地方債制度、及び様々な国庫補助金制度などから構成される地方税財政制度は、地方政府の財政行動に対する共通の枠組みを提示するが、その枠の持つ意味は、各地方政府の置かれた条件によって異なる。」地方財政制度は、地域経済からの自律性を規定することを通じて、地方政府間の競争の戦略とアリーナとを形作る一方で、地方自治体内部の財政の操作性を規定することを通じて、地方自治体内部でのアクターの相対的な影響力構造を規定している。経済市場からの自律性と組織内影響力構造との2つの制約によって、地方政府の財政行動は、説明されるのである。 地方財政の危機に対する認識もまた、このような経済市場からの自律性という側面と地方自治体内部の影響力構造という側面に媒介される。そして、従来、ゲームの中で所与として考えられていた地方財政制度自体を選択の対象とする改革においては、各地方自治体の置かれた経済市場に対する脆弱性の度合いと組織内部の影響力構造によって、改革のパッケージに対する選択が規定され、より自己の組織の位置を向上させるような制度改革が選好される。経済市場の制約と自治体組織内部の影響力構造という政治制約との2つが複合して、地方財政制度の改革の方向を定める。制度によって枠づけられていた組織の経済的政治的条件が、改革というフェイズにおいては、逆に、制度選択を規定する条件へと転ずるのである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森田 朗: "分権型社会における住民自治"都市問題研究. 52巻11号. 13-28 (2000)
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[Publications] 森田 朗: "「市町村合併の課題とこれからの地方自治」"ジュリスト. No.1203. 46-53 (2001)
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[Publications] 森田 朗: "「分権化と国際化」"岩波講座:自治体の構想1 「課題」. 23-41 (2002)
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[Publications] 田辺 国昭: "地方財政の危機と改革"年報行政学. 37巻. (2002)