Research Abstract |
固定された次元nを持ち曲率【greater than or equal】-1のコンパクトなアレキサンドロフ空間全体の集合A(n)を考える.このA(n)上で,加須栄-久村が導入したスペクトル位相とGromov-Hausdorff位相が同じであることを証明した.この系として次を得た.任意のM∈A(n)と自然数kに対してラプラシアンのk番目の固有値をλ_k(M)とおくと,関数λ_k:A(n)→RはGromov-Hausdorff位相に関して連続関数である.固定された定数n∈N,D>0,υ>0に対してA(n,D,υ)をM∈A(n)でその直径【less than or equal】Dかつn次元ハウスドルフ測度【greater than or equal】υとなるもの全体の集合とする.A(n,D,υ)はGromov-Hausdorff位相に関してコンパクトになることが知られている.従って上記の系を使って以下の(1),(2)の結果を得る.(1)n,D,υにのみ依存するある正の定数c(n,D,υ)が存在して,λ_1(M)【greater than or equal】c(n,D,υ)が任意のM∈A(n,D,υ)に対して成り立つ.(2)n,D,υ,kにのみ依存するある正の定数C(n,D,υ,k)が存在して,λ_k(M)【less than or equal】C(n,D,υ,k)が任意のM∈A(n,D,υ)に対して成り立つ. また一般のディリクレ空間上で強最大値原理を証明した.これにより特にアレキサンドロフ空間上でも最大値原理が成り立つことが分かった.この応用として,境界付アレキサンドロフ空間上のディリクレ境界問題の第一固有値の重複度が1であることの証明へと一歩前進した. もう一つの成果として,アレキサンドロフ空間から完備距離空間へのリップシッツ写像のエネルギーを定義して,その基本的な性質を調べた.これについては来年度も継続して研究を行なう.
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