Research Abstract |
1.動径振動をしている早期型星βCepheiは,詳細な観測から,振動数スペクトルは,顕著な動径振動モードの振動数を含む5重項と,それに近い振動数の単一項から成り立っていることが判っている.5重項は等間隔で,その中心の項が動径振動モードである.また,スペクトル線のプロファイルのモーメント解析から,単一項は四重極非動径振動であると考えられている.星に強い双極子磁場があるとすると,動径脈動はもはや球対称ではありえず,その固有関数は四重極非動径振動成分を持つようになることに着目し,磁場が自転軸に対して傾いている状況を考えると,観測されている5重項の特性が自然に説明がつくことを明らかにした.更に,5重項の振幅比から,磁場・自転軸・視線の幾何学配置,自転周期,磁場の強度を決定した.磁場の強度は,独立した観測から,この決定が正しいことが確認された.更に,単一項の振動数が,動径振動である5重項の中心項の振動数より高いことに着目し,この様な事が起こるのは,四重極非動径振動モード同士が"avoided crossing"を起こす場合である事を指摘し,この事から,星の進化段階とモードを同定した. 2.こと座RR星型変光星には,Blazhko効果と呼ばれる,通常の変光がより長い周期で変動する現象がある.通常の変光周期は約半日で,この効果の周期は数十日程度である.この効果は1907年に発見されたものであるが,現在に至るまで理論的な定説はない.星に強い双極子磁場があるとすると,動径脈動はもはや球対称ではありえず,その固有関数は四重極非動径振動成分を持つようになることに着目し,磁場が自転軸に対して傾いている状況を考えて,このBlazhko効果を,単一のモードの振動の振幅が,見かけ上,磁場と自転によって変化することで説明した.
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