2000 Fiscal Year Annual Research Report
多天体赤外ファイバー分光システムの開発と銀河形成の観測的研究
Project/Area Number |
11440065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩室 史英 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80281088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舞原 俊憲 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90025445)
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Keywords | 赤外線天文学 / 銀河 / OH夜光 / 多天体分光 |
Research Abstract |
平成12年度は、すばる望遠鏡に於てOH夜光除去分光器を用いた試験観測をほぼ2ヶ月おきに行ない、装置本体及びコントロールソフトの改良などを重ねて、OH夜光除去分光器を共同利用で使用できる状態まで完成度を高めた。これらの試験観測を通して、波長1〜2μmで従来の方法での観測よりも1等以上暗い22等級の天体の分光観測が可能であることが実証され、この波長域では世界で最も感度のある分光装置であることが確認された。試験観測では、最近次々と発見された赤方偏移が5前後の宇宙初期クェーサーや、赤方偏移が2.3前後の進化途中の電波銀河の分光観測を中心に行ない、それぞれ15天体程度のスペクトルを得た。宇宙初期クェーサーの観測では、静止波長で紫外線域に観測される鉄とマグネシウムの輝線から、マグネシウムよりも生成に時間のかかる鉄の存在比を調べることにより、宇宙年齢に制限をかけることが可能である。今回の観測では、最近発見された多数の宇宙初期クェーサーで鉄の存在比を調べることにより、赤方偏移5の宇宙が10億年以上の年齢を持つことを示し、既存の宇宙モデルに強い制限をかけることができた。また、進化途中の電波銀河の分光観測では、電波銀河本体の年齢や個々の中心核の性質の違いと周辺環境の関係などを現在解析している段階である。これらの観測及び解析と並行して、ファイバー多天体分光オプションのためのマルチプローブステージの組み立て、制御ソフトの製作、制御試験、プローブ最適配置計算ソフトの開発を行なってきた。完成したプローブステージは2月にすばる望遠鏡に向けて輸送され、3月にはOHS本体との組合わせ試験を行なう予定である。しかし、国内での試験中にファイバーバンドル部分に透過特性の欠陥があることが発見されたため、ハワイでの組み合わせ試験後ファイバーバンドル部分を日本に持ち帰り、対策を検討する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] R.Nakamura 他: "Subaru Infrared Spectroscopy of the Pluto-Charon System"Publ.Astron.Soc.Japan. 52. 551-556 (2000)
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[Publications] K.Ohta 他: "[OII]3727 Emission from the Compenion to the Quanser BR1202-0725 at Z=4.7"Publ.Astron.Soc.Japan. 52. 557-562 (2000)
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[Publications] Y.Ohyama 他: "Superwind-Driven Intense HZ Emission in NGC6240"Publ.Astron.Soc.Japan. 52. 563-576 (2000)
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[Publications] T.Nakajima 他: "Infrared Star Count Models and Their Application to the Subaru Deep Field"Astron.J.. 120. 2488-2495 (2000)
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[Publications] W.Brandner 他: "VLT-detection of two edge-on Circumstellar Disks in the rho Oph dark cloud"Astron.and Astrophys.J.Letters.. 364. L13-L18 (2000)
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[Publications] T.Maihara 他: "Subaru Deep Survey L.Near-Infrared Observations"Publ.Astron.Soc.Japan. 53. (2001)
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[Publications] F.Iwamuro 他: "OHS : OH-Airglow Suppressor for the Subaru Telescope"Publ.Astron.Soc.Japan. 53. (2001)
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[Publications] T.Totani 他: "Diffuse Extragalactic Background Light versus Deep Galaxy Counts in the Subaru Deep Field : Missing Light in the Universe ?"Astroph.J.Letters. (2001)
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[Publications] L.L.Cowie 他: "Detecting high redshift evolved galaxies as the hosts of optically faint hard X-ray sources"Astrophys.J.Letters. (2001)