2000 Fiscal Year Annual Research Report
シングルショットフェムト秒分光法の開発と固体中の不可逆光誘起現象の解明
Project/Area Number |
11440091
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 淳 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (60202165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 進 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30089833)
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Keywords | 不可逆光誘起現象 / シングルショット / 光カーゲート / フェムト秒分光法 / ベータカロチン / ZnOエピタキシャル薄膜 / 分子内プロトン移動 |
Research Abstract |
本研究は、超高速で生じる光誘起現象、とりわけ不可逆光誘起現象の過渡的振る舞いを明らかにできるシングルショットフェムト秒分光法を開発し、それを用いて様々な固体中の光誘起現象の解明を行うものである。今年度は、フェムト秒レーザを用いた分光法として、1)光カーゲート法による時間分解発光分光法および2)シングルショットフェムト秒分光法の光学系・検出器系の立ち上げを行った。またこれらの分光法を実際の物質の超高速光誘起現象の測定へ適用した。 1)においては、レーザシステム・測定系の整備により、微弱で超高速で生じるベータカロチンの蛍光を時間分解能200フェムト秒で捉えることに成功した。また、ワイドギャップ半導体ZnOエピタキシャル薄膜中に高密度に光励起された励起子、電子-正孔プラズマ状態からの発光のダイナミクスを明らかにすることができた。 2)においては、まず2次元CCD検出器、分光器、光学部品を組み合わせ、通常の過渡吸収分光法を立ち上げ、フォトクロミック化合物DNBPの分子内プロトン移動の解明に用いた。その結果、数10ピコ秒でプロトン移動を伴い準安定構造であるNH型に構造変化することを見いだした。またこの測定を通して、立ち上げた分光法は、捉えることのできる最小吸収変化の値として0.01、時間分解能として200フェムト秒をもつことがわかった。 来年度は、上記の過渡吸収分光法をシングルショットフェムト秒過渡吸収分光法に移行することに重点を置き、その後フォトクロミック化合物の光構造変化の過渡現象をシングルショットフェムト秒過渡吸収分光法を用いて明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Takeda,K.Nakajima,S.Kurita,S.Tomimoto,S.Saito and T.Suemoto: "Time-resolved Luminescence Spectroscopy by the Optical Kerr Gate Method Applicable to Ultrafast Relaxation Processes"Physical Review B. 62. 10083-10087 (2000)
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[Publications] J.Takeda,S.Kurita,Y.F.Chen and T.Yao: "Ultrafast Carrier Dynamics in ZnO Epitaxial Thin Films Studied by Optical Kerr Gate Luminescence Spectroscopy"International Journal of Modern Physics B. (印刷中). (2001)
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[Publications] J.Takeda,H.Jinnouchi,S.Kurita,Y.F.Chen and T.Yao: "Dynamical Properties of Electron-hole Plasma in ZnO Epitaxial Thin Films Studied by Optical Kerr Gate Luminescence Spectroscopy"Proceedings of 25^<th> International Conference on the Physics of Semiconductors. (印刷中). (2001)
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[Publications] J.Takeda: "Femtosecond Optical Kerr Gate Fluorescence Spectroscopy for Ultrafast Relaxation processes of β-Carotene"Carotenoid Science. 4(印刷中). (2001)