2001 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴によるナノスケール磁性体の量子トンネル効果の研究
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11440106
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| Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
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Principal Investigator |
後藤 喬雄 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90026807)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 武治 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00031576)
宮下 精二 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10143372)
小山田 明 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (60211835)
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| Keywords | ^<55>Mn核磁気共鳴 / ナノスケール磁性体 / 量子トンネル効果 / 核磁気緩和 |
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| Research Abstract |
本研究は、核磁気共鳴(NMR)を用い、ナノスケールクラスター分子磁性体の量子トンネル効果を微視的視点から究明するものである。 対象は、巨大スピンS=10のMn12AcとS=1/2と3/2をもつV15であり、55Mn核および1H核のNMRスペクト、ならびに、核スピン-格子緩和時間T1とスピン-スピン緩和時間T2の測定を行った。また、クラスターとしての磁化の大きさを反映するNMR信号の強度の測定から、磁化の回復とこれに現れるトンネル効果、また、特異な現象としてのアバランシェ効果を観測した。前年度の実績を踏まえた本年度の実験内容は以下の通りである。
1.Mn12Acにおける55Mn核のNMRスペクトル(前年度成果)の解析に基づき、hyperfineテンソルの同定を行うとともに、クラスター巨大スピンの見る微細磁場についての実験的な知見をえた。
2.55Mn核のT1とT2について、200~400高周波域NMR(11年度備品)でHe3クライオスタット(12年度備品)と希釈冷凍機を用いた超低温度域、及び、液体He4温度域での温度、磁場依存性の詳細な測定を行った。データの解析を通して、T2は、熱励起の頻度で決まるという強衝突モデルで、また、T1の方は、摂動論に基づく緩和理論で解釈できることを明らかにした。
3.磁場反転後の55MnのNMR信号をモニターすることにより、He4温度域での初期の磁化の回復は、時間の平方根(-√<t>))で回復すること、それ以降は、指数関数的(exp(-t))に回復をすることを見い出すとともに、超低温域では、全ての反対向きのクラスタースピンが瞬時に反転する、アバランシェ効果が起ることをみいだした。
4.V15分子磁性体について、液体ヘリウム温度域、0.4〜3Tの磁場域で、プロトンのT1の温度依存性を磁場をパラメータとして測定した。この系の準位は、巨大分子でありながら、S=1/2と3/2で、最も単純な準位から構成され、Mn12との比較という視点から、現在、緩和機構について考察中である。
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[Publications] Takao Goto: "^<55>Mn NMR and relaxation studies on M_<12>-acetate"Physica B. 284-288. 1227-1228 (2000)
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[Publications] Takeji Kubo: "The observation of magnetization behavior of nanoscale luster magnet Mn_<12>ac by ^<55>MnNMR"Physica B. 294-295. 310-313 (2001)
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[Publications] Takeji Kubo: "^<55>Mn NMR in Mn_12 acetate : Hyperfine interaction and magnetic relaxation of cluster"Phyo. Rev. B.
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[Publications] Takao Goto: "Nuclear Magnetic Relaxation in Molecular cluster Magnet Mn_<12>Ac"Prog. Theror. Phys. Suppl..
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[Publications] Takeji Kubo: "Quantum Tunneling and Transverse Field Effect on Magnetic Relaxation in Mn_<12>Ac Studies by ^<55>MN NMR"Prog. Theror. Phys. Suppl..
