2000 Fiscal Year Annual Research Report
高圧高磁場中低温比熱測定による重い電子系化合物の非フェルミ液体状態の研究
Project/Area Number |
11440109
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西郡 至誠 島根大学, 総合理工学部, 助手 (50273917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 賢二 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (50238630)
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Keywords | Ce化合物 / 非フェルミ液体状態 / 比熱 / NMR |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて、低温で非フェルミ液体状態が観測される六方晶Ce_xLa_<1-x>Pd_2Al_3(x=0,0.05,0.10,0.15)多結晶試料について研究を行った。これまでは、液体^3He温度から測定した比熱および磁気エントロピーの磁場変化などを2チャンネル近藤モデルおよび反強磁性ゆらぎを仮定したSCR理論の立場から解析し報告してきた。本年度の主な成果を以下に挙げる。 1)より細かく磁場を振った磁場中比熱測定を行ったところ磁気比熱を温度で割ったC_m/Tは1Tの磁場で一旦増大し、磁気エントロピーも増大した。さらに磁場を増大するとC_m/Tは抑えられて行くという振舞いを示す事が判った。この様な振舞いは反強磁性ゆらぎを仮定しただけでは理解できないと考えられ、磁場中でエントロピーが増大するとする2チャンネル近藤効果の兆候が見えている可能性もある。より詳細な実験・解析が必要である。 2)Ce濃度xを0.4まで増やした試料を作製し、極低温までの比熱測定を行った。Ce低濃度の試料と同様に-lnTに比例するC_m/Tの振舞いが見られたが、x=0.4でも磁気転移に対応する異常は観測されなかった。 3)圧力セル,高圧比熱用クライオスタットを整備・製作し、Ce濃度の低い試料について圧力中の比熱測定を測定した。圧力を増大して行くと-lnTに比例するC_m/Tの低温の増大は抑えらていく傾向が見られた。 また、Ce_xLa_<1-x>Pd_2Al_3以外にも斜方晶CeCu_<5.9>Au_<0.1>について反強磁性不安定点近傍での非フェルミ液体状態における圧力下での物性変化を詳細に調べるために圧力中NMR,比熱の測定を開始した。
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