2001 Fiscal Year Annual Research Report
表面磁性研究のためのナノメートルスケールスピン偏極走査電子顕微鏡の開発
Project/Area Number |
11440113
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水野 清義 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (60229705)
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Keywords | 電子スピン / 表面磁性 / 電界放射 / 走査トンネル顕微鏡 / 低速電子回折 / スピン偏極走査電子顕微鏡 / モット検出器 / 2次電子 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、探針先端から電界放出した電子による散乱電子を検出可能であることを示すことが出来た。しかし、試料表面平行方向へ散乱電子を引き出して検出していたため、対称性が悪化し、モット検出器による測定に不向きであった。そこで、本年度は試料表面垂直方向へ散乱電子を引きこむことができるように装置の改良を行った。 改良の内容は以下の通りである。 1.探針位置制御用のピエゾ素子を横に移動し、探針を横から延ばして直角に折り曲げて試料表面にアプローチする方式とした。この際、探針の表面平行方向の動作を確保するために8分割円筒ピエゾ素子を用いた。 2.表面垂直方向に対称性良く、効率的に散乱電子を引き出すために、探針シールドを取り付けた。探針シールドは細い筒状の絶縁管でできており、外側に銀ペーストを被覆してある。この銀ペーストの被覆に配線を取り付け、電位を印加できるようにした。 改良の結果、回折ビームによると思われる散乱パターンの検出に成功した。(0 0)回折ビームは探針シールド電圧の上昇と共に、真空側へと引き出されていく様子が観察できた。(1 0)回折ビームは探針シールド無しでは検出できなかったビームで、探針シールドにより散乱電子の検出効率が向上したことを示すことが出来た。 これにより、試料表面垂直方向へ散乱電子を引きこみ、モット検出器でスピン偏極度を測定する目途が立った。現在、モット検出器での検出実験を行っているが、散乱電子の総量が少ないこと、および、電界放出の条件が探針先端の形状に大きく依存するため、電子スピン偏極度の計測には至っていない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Mizuno: "Development of an advanced low-energy electron diffraction technique using field-emitted electrons from STM tips"J.Vacuum Science and Technology B. 19. 1874-1878 (2001)
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[Publications] S.Mizuno, J.Fukuda, H.Tochihara: "Extraction of scattered low-energy electrons in field emission condition"Surface Science. (in press). (2002)