2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性体における量子伝導機構と巨視的トンネル効果
Project/Area Number |
11440116
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮島 英紀 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70166180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白浜 至也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70251486)
齊藤 英治 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (80338251)
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Keywords | ナノ磁性体 / 量子伝導 / スピトロニクス / トンネル効果 / 量子ナノワイヤー / 量子コンダクタンス / AB効果 / ナノリング |
Research Abstract |
本年度の概要は次の通りである。 (1)ソフト強磁性体であるパーマロイを用いて直径が数百nmのナノリングを作製し、これの電流磁気抵抗効果をmK領域で調べた。磁気抵抗か変化のパワースペクトル分析を行い、h/eを周期とする振動と揺らぎが存在することを発見した。この振動周期はAharonov Bohm効果から期待されるものと一致し、これをAB効果と同定した。また、揺らぎから想館磁場と位相相関長を評価し、AB効果の振幅は位相相関長と試料サイズを比較することできまる。このように強磁性体でも伝導電子は量子干渉性を失わない。(2)強磁性Niの量子細線について、量子化条件とバイアス電圧依存性を調べ、金属量子細線でもいわゆる「0.7G_0問題」(G_0=2e^2/h)が起こることを明らかにした。また、ゆっくりと生成した量子細線では無磁場中でもが生じることを示し、量子化条件と非平衡性について研究した。さらに、特定の量子化状態を数分にわたって保持することに成功し、この状態で磁場を印加するとコンダクタンスが量子化状態間で可逆的にスイッチングする現象を発見した。(3)線幅の異なるナノワイヤを接合した細線を作製した。両者の形状磁気異方性エネルギーが異なるので、ピン止めポテンシャルが接合部に生じ、これを介してトンネル効果を示すはずである。この実験は進行中である。 最終年度だけあって多彩な結果が得られ、満足のいくものであった。既発表論文の他、投稿中の論文が5件ほどある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Hinoue, H.Miyajima et al.: "Magnetization process of ferromagnetic-superconduetor hybrid films"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 1583-1584 (2001)
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[Publications] T.Ono, H.Miyajima et al.: "Magnetic and transport properties of magnetic wires down to 20mm in width"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 1831-1832 (2001)
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[Publications] Y.Ooka, H.Miyajima et al.: "Conductance quantization in ferromagnetic Ni nanowire"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 1848-1849 (2001)
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[Publications] H.Katsuno, H.Miyajima et al.: "Galvanomagnetic effect and domain wall resistance of ferromagnetic Fe-Ni wire in submicrometer width"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 226-230. 1864-1866 (2001)
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[Publications] T.Ono, H.Miyajima et al.: "Magnetization reversal and electric transport in ferromagnetic nanowires"Materials Science and Engineering. B84. 126-132 (2001)
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[Publications] 宮島英紀: "磁気特性への挑戦"ふえらむ(日本鉄鋼協会誌). 6. 948-953 (2001)