2000 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドバンドギャップ結晶のイオンビームトラックからの電子-空孔プラズマ発光と物性
Project/Area Number |
11440127
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 一宇 理化学研究所, ビーム分配技術開発室, 先任研究員 (40087614)
|
Keywords | 電子-空孔プラズマ / イオン結晶 / 金属酸化物 / 100ps寿命発光 / 単一イオン単一光子相関 / 時間分解発光スペクトル / 高密度電子励起 / イオン照射 |
Research Abstract |
重イオン励起によって生ずる電子励起状態の極端に大きな高密度励起効果を研究しいている中で、これまでの光物性の結果とは全く異なる発光帯を発見した。それは、UVからVISにかけての短命(<100PS)幅広の発光で、はじめアルミナ結晶で見つかった。ついで、イオン結晶のほとんどすべてと他の酸化物ヤダイアモンドについて測定をおこなった結果、ほとんどの結晶について同様の発光が見つかった。すなわち特定の物質の特別な発光現象ではなく、普遍性の有る基礎発光体である。更に調べると、収率に物質依存性が有ること、励起密度依存性が非線形であること、がわかり、decayの温度依存性などの結果を合わせて考えると、電子-空孔プラズマに帰属できそうである。であれば、絶縁体では初めてのことである。また、イオントラックの集団励起体の発光としてもこれまでにないものである。この結果は、絶縁体の極限環境における物性研究や、イオン照射効果の研究に対するブレークスルーになるのではないかと期待できる。このような発見が出来たのは、われわれの開発した世界最高速である、単一イオン単一光子時間相関法の高速性のおかげである。しかし、、現在単チャンネルしかなく、時間分解スペクトルはビームの揺らぎに影響されやすく、正確なスペクトルが得られにくい。それを解決するために、同時8チャンネル測定法を開発することとした。特注で8chアノードのMCP入りPMTを作り、TAC,ADC,CFD,AMP,INTERF,等測定系を全て8CHとすることとした。現在、測定系はおおむね完成したのであるが、イオン加速器が昨年4月より始まった改造工事のため運転不能の状況にある。実験は工事の完成待ちであるので、昨年度報告に加える新しいものは、8チャンネル高速decay測定装置の完成についてだけである。
|
-
[Publications] K.Kimura, et al.: "Novel ultra-fast luminescence from incipient ion tracks of insulator crystals : Electron hole plasma formation in the track core"Nucl.Instrm.Meth.Phys.Res.B. (2001)
-
[Publications] K.Kimura, et al: "Stimulated emission at 326 nm and an ultrafast 100ps-lived luminescence Component in ion irradiation of alumina"Phys.Rev.B. 60. 12626-12634 (1999)
-
[Publications] K.Kimura, et al: "Stimulated emission and exciton complex in some insulator crystals irradiated by heavy ions."Nucl.Instrm.Meth.Phys.Res.B. 154. 318-324 (1999)