2000 Fiscal Year Annual Research Report
衛星搭載降雨レーダのデータを用いた世界の降雨形態の研究
Project/Area Number |
11440139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 健治 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (20262917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 安正 名古屋大学, 弘前大学・理工学部, 助教授 (30205421)
樋口 篤志 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (90324384)
坪木 和久 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90222140)
玉川 一郎 名古屋大学, 岐阜大学・工学部, 助教授 (40273198)
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Keywords | 衛星観測 / 降雨分布 / 降雨構造 / 日周変化 / 降雨レーダ |
Research Abstract |
1997年11月に種子島宇宙センターから打ち上げられた熱帯降雨観測衛星(Tropical Rainfall Measurement Mission:TRMM)は順調な観測を行っている。この衛星に搭載された降雨レーダのデータ解析を継続した。降雨の日周変化は、TRMMが太陽非同期軌道をとっていることから当初から期待されていた成果である。これについて世界的な降雨の日周変化が出力した。日周変化は熱帯域の大きな島や半島で顕著であるが、このような傾向が中央アメリカなどでも明瞭に見られることが分かった。またアフリカのビクトリア湖では明瞭な海型の日周変化を示しており、大陸の中のいわば「海島」となっている。島について日変化をより良くみるために南緯10度-0度、東経120度-150度のインドネシアについて2年間のデータを積み上げて、降雨の地方時1時間毎の変化を見てみた。海、島:0.25度×0.25度、0.5度×0.5度、1度×1度、そして陸に分類したところ陸地が広がるほど、降雨が最大となる地方時がずれていくことが分かった。降水量と島の関係では大きな島では降水量は海上に比べて大きくなる傾向はあるが、小さい島ではその傾向は見られない。降雨の鉛直プロファイルをみると陸上では地面に近づくにつれて降雨強度が小さくなる傾向がある。これはアジアモンスーン時期にインド亜大陸とインドシナ域で顕著であった。また同衛星に搭載されている可視・赤外放射計のデータと降雨レーダデータとを比較することにより、インドシナ半島域における降雨形態の差異、すなわち西側では背は低いが頻度の高いこと、内陸また南シナ海では背は高いが頻度の低いことが分かった。さらに西太平洋域と東太平洋域の降雨形態の差異も見見ることができた。 降雨は大気の構造に大きく影響を受ける。アジアモンスーンの影響を強く受ける地域として過去の付き合いのあるインド南東部にあるVen Kateswara大学との共同でゾンデ放球による観測を2000年8,9月に行った。本観測ではゾンデシステムの通関等の手続き作業に大きな時間をとられたが、現地で南西モンスーンと呼ばれる時期の最後時期に観測を行うことができた。
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