堆積物-水境界における底生生物による有機物の選択的消費とタフォノミー -実験的手法による新しい古海洋環境指標の確立-

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11440154
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Shizuoka University
• Principal Investigator: 北里 洋 静岡大学, 理学部, 教授 (00115445)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 白山 義久 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60171055) ; 神田 穣太 静岡大学, 理学部, 助教授 (60202032) ; 和田 秀樹 静岡大学, 理学部, 教授 (20126791) ; 中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
• Keywords: Sediment-Water Interface / メイオベントス / 有機物分解 / 海洋調査 / 実験室飼育 / 炭素循環 / Benthic-Pelagic Coupling

Research Abstract

本研究は,海洋表層から供給されてきた有機物が海底の堆積物-水境界部(SWIと略す)で消費・変質していく過程を,海底現場での観測と室内実験を通じて明らかにすることを目的にしている。研究は,現場での観測と実験,室内での飼育実験とを行っている。(1)観測とサンプリングは,相模湾中央部の定点(1450m)で行った。定点では,海中をどのような有機物が沈降してくるのかを理解するために,海底直上ネフェロイド層の有機物を集めた。有機物の組成をガスクロマトグラフで分析して有機物の種類の同定を行い,沈降してくる有機物のキャラクタリゼーションを行った。ガスクロマトグラフを購入した。(2)定点では,また表層が未撹乱な堆積物試料を採集した。堆積物は表層より0.25cm毎に切り分け,有機および無機分析を行い,SWIの化学的な状態を推定した。元素分析装置を購入し,C/N比を測定した。有機物を消費する底生生物は,有孔虫および多細胞メイオベントスを堆積物から分離し,群集解析を行い,生物量を推定した。(3)海底での有機物の摂取過程を明らかにするために現場有機物添加実験を相模湾中央部で行った。添加する有機物には蛍光粒子を混入し,底生生物による摂取がわかるように工夫した。(4)室内実験は,相模湾中央部で採集した海底表層堆積物を用いて行った。実験は実験水槽に決まった量の単細胞藻類を添加し,堆積物中のメイオベントスに摂取させた。摂食行動は一定時間毎に水槽のガラス面を通して観察し,有機物に対する反応を測定した。この一連の観測・実験を通して,底生生物による有機物の消費過程が明らかになった。たとえば有孔虫は,わずかな量の新鮮なエサに反応した。また,有孔虫の呼吸量を測り,生物量のデータとあわせ有機物の分解量を推定したところ,沈降有機物量の20%弱を分解している計算になった。

Research Products

• [Publications] 北里洋: "有孔虫はなぜ環境や古環境の指標として使えるのか?"鹿児島大学南太平洋海域調査研究報告. 32号. 3-17 (1999)
• [Publications] Kitazato,H.: "Seasonal Phytodetritus deposition and responses of bathyal benthic foraminiferal populations in Sagami Bay,Japan"Marine Micropaleontology. (in press).
• [Publications] Shimanaga,M.: "Seasonal change in vertical distribution of meiofauna in relation to phytodetritus deposition in the bathyal Sagami Bay,Central Japan"Journal of Oceanogrophy. (accepted).
• [Publications] Shimanaga,M.: "Response of benthic organisms to seasonal change of organic matter deposition in the bathyal Sagami Bay,Central Japan"Oceanologica Acta. (accepted).