1999 Fiscal Year Annual Research Report
大気・海洋における宇宙線生成核種の分布及び挙動に関する研究
Project/Area Number |
11440168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永井 尚生 日本大学, 文理学部, 教授 (10155905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 貴之 日本大学, 文理学部, 助手 (50245396)
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Keywords | 加速器質量分析 / 大気 / 海水 / エアロゾル / 宇宙線生成核種 / ベリリウム-10 / ベリリウム-7 / 鉛-210 |
Research Abstract |
1.大気中の^7Be・^<10>Beの分布測定結果より、大気中の^<10>Be/^7Beの分布一定ではなく、1〜3程度の範囲で変動することが判明した。この変動は緯度に依存するようにも思われたが、緯度によらず"夏"と"冬"で変動することが判明した。"夏"は平均2.0(北半球、7,8月)および1.9(南半球、12,1月)であるのに対し、"冬"は平均1.2(北半球、10〜2月)であった。この原因については現在の所、"夏"においては"冬"と比べ、対流圏と成層圏間の大気の交換が盛んであるとためと解釈している。これは^<10>Be,^7Beは大部分が成層圏及び対流圏上部で生成し、生成時には^<10>Be/^7Beは一定と考えられている。成層圏においては、その後の経過時間(滞留時間)が1〜2年と長く、大部分の^7Be(半減期53日)が壊変により減少するため、^<10>Be/^7Beは対流圏の値より高くなっていることが根拠となる。 2.地表に降下し、一定時間滞留した後再浮遊した成分も、大気中の^<10>Be/^7Beに影響を与え、この比を高くする要因となりうる。この寄与を^<210>Pb濃度を測定し、^<210>Pb/^7Beから推定することを試みた。その結果、外洋大気中の^<210>Pb/^7Beは、北半球で平均18.8、南半球で平均7.2と陸地面積に応じた値で変化した。これに対しベンガル湾では最高50程度まで、北部日本近海では最高100程度まで値が上昇し、大陸の影響が観察されたが、^<10>Be/^7Beと^<210>Pb/^7Beの間にはほとんど相関はなく現時点では、大陸からの再浮遊成分の指標として^<210>Pb/^7Beは使用できないと考えられる。また、^<210>Pb/^7Beは大陸縁辺からの距離に従い指数関数的に減少する傾向が見られたのに対し、^<10>Be/^7Beはこのような傾向が見られないことから、外洋大気における大陸からの再浮遊成分の寄与は少ないと推定された。
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[Publications] Hisao Nagai: "Be isotopes in the atmosphere and ocean surface"Proceedings of the International Workshop on Frontiers in Accelerator Mass Spectrometry. 129-136 (1999)
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[Publications] Takayuki Kobayashi: "Concentration profile of ^<10>Be in large manganese crusts"Proceedings of the International Workshop on Frontiers in Accelerator Mass Spectrometry. 201-204 (1999)
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[Publications] Masafumi Murayama: "^<10>Be record in the northwest Pacific during the last 140 kyr; Implications of terrigenous input and paleoproductivity changes"Proceedings of the International Workshop on Frontiers in Accelerator Mass Spectrometry. 226-227 (1999)