2001 Fiscal Year Annual Research Report
大気・海洋における宇宙線生成核種の分布及び挙動に関する研究
Project/Area Number |
11440168
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永井 尚生 日本大学, 文理学部, 教授 (10155905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 貴之 日本大学, 文理学部, 講師 (50245396)
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Keywords | 加速器質量分析 / 大気 / 海水 / エアロゾル / 宇宙線生成核種 / ベリリウム-10 / ベリリウム-7 |
Research Abstract |
1.東京大学海洋研究所共同利用KT01-11(淡青丸2001.8),KH01-3(白鳳丸2001.11-2002.3)により、日本近海および日本-南極間において大気・表層水をそれぞれ約50試料、また気象庁観測船凌風丸RF01-06(2001.6-7),RF01-10(200110-12)により西部北太平洋において大気・表層水をそれぞれ約60試料採取し、γ線測定・化学処理を行っている。さらに八丈島において連続して、大気・雨水試料の連続採取を開始し、γ線測定を行っている。 2.日本-ハワイ間の西部北太平洋(KH00-3,2000)における表層水中の^7Be・^<10>Be濃度の深度分布測定から、20-40°Nにおいて^7Be・^<10>Be濃度は平均16および690(atoms cm^<-3>)であった。これから求めた^7Be/^<10>Beと海洋大気中の^7Be/^<10>Beからボックスモデルを適用することにより、表層における^7Be・^<10>Beの平均滞留時間は5.5年、^7Be・^<10>Beの大気から海洋へのフラックスが0.025および0.043(atoms cm^<-2>s^<-1>と算出された。 3.陸上(東京、1999-2000)における大気・雨水中の^7Be・^<10>Be濃度の連続観測から、^7Be・^<10>Be濃度^<10>Be/^7Beはすべて3-5月に極大を示した。これは、成層圏から対流圏へのエアロゾルの輸送がこの時期極大になることの証拠となる。また、^7Be・^<10>Beの大気から地表へのフラックスは、通常期はそれぞれ0.030,0.074(atoms cm^<-2>s^<-1>)と算出され、極大期はそれぞれ0.09,0.24(atoms cm^<-2>s^<-1>)と算出された。これを海洋におけるフラックスと比べると、特に^<10>Beフラックスが高く、雨水中の^<10>Beが再浮遊成分を含むことを示している。
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[Publications] 永井尚生: "ベリリウムの海洋同位体地球化学"月刊海洋. 号外25号. 162-168 (2001)
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[Publications] 永井尚生: "東京における雨水中の宇宙線生成核種^7Be,^<10>Be"Proceedings of the Second Workshop on Environmental Radioactivity. 175-178 (2001)