1999 Fiscal Year Annual Research Report
C=Cをコアとするラジカル分子の電子状態と構造変化
Project/Area Number |
11440172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥川 忠正 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30016125)
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Keywords | 高分解能分光 / cis-trans異性化 / トンネル効果 / 三重項アセチレン |
Research Abstract |
本研究では電子・振動・回転・スピンの内部量子状態を完全に押さえた研究が可能となる高分解能分光実験の利点を最大限に利用して、C_2H_n型の一連の分子をC=Cコアの作る異方性ポテンシャルに束縛された等価な複数のプロトンがトンネリング運動するモデルで系統的に捉えることを目的としている。その典型例としてn=2の三重項アセチレンの異性化反応を対象としてi)近赤外領域の振動電子遷移、ii)サブミリ波領域の純回転遷移の測定を試みた。 i)振電遷移の測定 分光光源として近赤外外部共振器型半導体レーザーを用いてd^3A_2←a^3B_2のホットバンドを含めた振電バンドを探査したところ、d状態のcis-bending振動の励起状態を検出することに成功した。その結果、振動の基底状態で見られたモデルハミルトニアンからのずれが、振動励起状態では更に大きくなる傾向が見られた。これはより分子がフレキシブルになった事を示しており、トンネリング効果によってトランス型への構造異性化反応を起こしている兆候の可能性がある。そこで鍵となるトンネリング効果の有無を検証するために、Hを重水素に換えたC_2D_2で同位体効果を調べる事とした。同位体効果でトンネル効果が大きく抑制されるであろうと予測されるからである。C_2H_2と同じ振電バンドの測定を試みたところ、予想された領域に新たなスペクトルの検出に成功した。現在はスペクトルの帰属作業を進めているところである。 ii)サブミリ波分光法による純回転スペクトルの測定 後進行波管(BWO)を光源とする高精度サブミリ波分光システムを用いて、400-600GHz領域に現れるK=1-0と2-1の純回転遷移の測定を開始した。予想周波数の計算には先の近赤外分光の結果を用いている。
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