1999 Fiscal Year Annual Research Report
反射吸収赤外分光法を用いた金属電極-有機薄膜界面の構造と電場誘起過程の研究
Project/Area Number |
11440179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古川 行夫 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50156965)
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Keywords | ポリパラフェニレンビニレン / 発光ダイオード / 赤外分光 / けい光分光 / キャリヤー / ポーラロン |
Research Abstract |
ポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体の光・電圧誘起過程に関して,赤外分光法などを用いて研究した.バンドギャップを超える光子エネルギーをもつ光を照射すると,ポーラロン(キャリヤー)による特徴的な赤外吸収が観測された.位相・変調測定を行いダイナミックスを研究した結果,光照射により生成した正と負のポーラロンは中性化による2次過程で消滅することが明らかとなった.また,PPV誘導体を材料とした単層型発光ダイオードを製作し,赤外分光法を用いて,PPVの配向,電圧印加時における構造の変化,共役高分子の劣化に関して研究した.ITOを蒸着したBaF_2(赤外光を透過する電極)の上に,スピンコーティング法により,膜厚約100nmのPPV誘導体薄膜を作成した.その上に,電極として金属を蒸着して,発光ダイオードを製作した.製作した発光ダイオードの電界発光スペクトルは,蛍光スペクトルと一致したので,発光は1重項励起子からの発光といえる.製作した発光ダイオードをFT-IRの外部反射装置に取り付けて,in situ反射的赤外吸収スペクトルを測定した.電場誘起赤外吸収には,キャリヤーに起因するバンドが観測された.p型ドーピング,n型ドーピング,光照射で生成するキャリヤーのスペクトルと比較すると,MEH-PPVの電圧誘起スペクトルは,p型ドーピングしたポリマーのスペクトルと類似していた.このことは,電圧印加により正のポーラロンのみが注入され,正のポーラロンが負極まで移動し,電極界面で電子を受け取り励起子となって発光していると考えることにより解釈できる.このような機構では,励起子から電極へのエネルギー移動で発光効率が低下している可能性がある.
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[Publications] Y.Furukawa: "Dynamic Studies of Conjugated Polymers by Phase-Modulation IR-Spectroscopy"Vibrational Spectroscopy. 19(1). 77-83 (1999)
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[Publications] Y.Furukawa et al.: "Phase-Modulation Measurements of Photoinduced Infrared Absorptions from Poly(p-phenylene)and Poly(2,5-dioctyloxy-p-phenylenevinylene)"Journal of Molecular Structure. (in press). (2000)
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[Publications] Y.Furukawa: "Electronic Spectra of Conjugated Polymers and Oligomers"Handbook of Advanced Electronic and Photonic Materials. (in press). (2000)