1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 正 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50124219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 勇三 茨城大学, 理学部, 教授 (10152969)
泉岡 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (90193367)
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Keywords | 交差シクロファンドナー / イオンラジカル塩 / 超分子 / 自己集合化 / チャンネル構造 / 電気伝導度 / 整流効果 |
Research Abstract |
1)ドナーとアルキル鎖の連結部に硫黄原子を組み込んだ、交差シクロファンドナー合成法の改良を行なった。ケトンのジチオレートの亜鉛錯体の対イオンとしてテトラエチルアンモニウムイオンを用い、塩の単離に成功した。その結果、ドナーの多量合成が可能となった。 2)連結部にセレン原子を組み込んだ交差シクロファンについては、電解結晶化法によりブロマイドイオンを対イオンとし、溶媒分子を取り込んだイオンラジカル塩を作成した。結晶中、交差シクロファンドナーは対イオンと溶媒を包接した超分子構造を形成している。構造上の特徴として、以下の3点が挙げられる。i)交差シクロファンドナーの一電子酸化状態においては、二つのドナー部は、形式上中性DとカチオンラジカルD^+とに分けて考えることができ、それらが分子間でDD^+DD^+のカラムを形成している。ii)ドナー部の四隅にあるセレン原子が、ファンデルワールスカにより、分子間で前後左右に接し、四角格子を形成している。iii)上下のドナー部が互いに直交してアルキル基で固定されているため、ドナーの自己集合化に伴い、前後左右にアルキル基で取り囲まれたチャンネルができ、この中に対イオンや溶媒が包接されている。 3)一方、包接された対イオン系によるダイナミックスが引き起こす物性への変調として、以下の結果を得ている。層状構造を有するBEDT-TTFの水和クロライド塩(ET_3・Cl_2・5H_2O)においては、結晶のc軸に沿った抵抗が、通電の向きにより一桁異なり、整流効果を示す。この結晶構造につき、ディスオーダーを取り入れた四軸X線構造解析および、イオンラジカル塩表面の走査型トンネル顕微鏡観測により、詳細な知見を得た。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] J.Nakazaki 他3名: "Novel Spin-polaraized TTF Donors Affording Ground State Triplet Cation Diradicals"Tetrahedron Lett.. 40. 5027-5030 (1999)
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[Publications] T.Matsuo 他5名: "Infrared Absorption by a Tunneling Proton in Crystalline 5-Bromo-9-hydroxyphenalenone"Europhys.Lett.. 47. 36-41 (1999)
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[Publications] Y.Isikawa 他6名: "New Synthesis of 2-[1,3-Dithiol-2-ylidene]-4,5-dihydro-1,3-dithiolo[4,5-b][1,4] dithiins with Formyl Group on Fused Benzene,[1,4] Dithiin,or Thiophene Ring"Tetrahedron Lett.. 40. 8819-8822 (1999)
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[Publications] T.Sugawara: "Manipulating Spin System"Mol.Cryst.liq.Cryst.. 334. 257-273 (1999)
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[Publications] T.Sugawara 他1名: "Tautomerism in the Solid State"Adv.in Phys.Org.Chem.. 32. 219-265 (1999)
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[Publications] T.Sugawara: "Hyper-structured Molecules I..Chem.,Phys.,and Applications,Gordon and Breach Science Publishers"Approach to Hyper-Structured High Spin Molecules. 101 (1999)
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[Publications] T.Sugawara 他2名: "Magnetic Properties of Organic Materials,Marcel Dekker,Inc."Orgnic Paramagnetic Building Blocks for Ferromagnetic Materials. 18 (1999)