2000 Fiscal Year Annual Research Report
液体上展開単分子膜の偏光変調赤外外部反射分光法による研究
Project/Area Number |
11440204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅村 純三 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90027061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 洋 平安女学院短期大学, 講師 (90310648)
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Keywords | 偏光変調赤外外部反射装置 / ステアリン酸亜鉛 / ラングミュアー膜 / 偏光赤外外部反射スペクトル / 表面圧緩和過程 |
Research Abstract |
前年度の実験で、展開物質にはステアリン酸および12-ヒドロキシステアリン酸を選び、下層水にZnCl_2水溶液を用い、生成した各亜鉛塩の圧縮過程での構造変化を検討した。今年度は、これらの内ステアリン酸亜鉛の系を固体膜の状態(表面積0.2nm^2/molecule)まで一気に加圧し、その後、表面圧の緩和過程で、分子構造がどう変化するかを、申請の主要設備である偏光変調赤外外部反射装置を用いてモニターした。その結果、表面圧の緩和過程の30分ほどの間に、CH_2逆対称伸縮振動の波数が2916cm^<-1>から2914cm^<-1>まで低下するとともに、CH_2はさみ振動の波数が、1470cm^<-1>から1474cm^<-1>へと増加した。前回の圧縮実験では、これらの波数は30分後の平衡値になっており、値に変化は見られなかった。緩和過程でのこれらのバンドの波数の変化は、いずれも構造が高度に緻密化する結果であることを示唆している。一方、同じ過程で、COO^-逆対称伸縮振動の波数は、1540cm^<-1>から1543cm^<-1>へと増加した。この波数は、COO^-基がZn^<++>イオンとイオン結合した波数であるが、波数の増加は、OCO角の増加として解釈できる可能性がある。別の可能性として、亜鉛原子の配位数の変化に伴うスペクトル変化が出ている可能性もある。その詳細は次年度に譲るとして、本研究は、重金属イオンの生体関連物質への影響を調べる、基礎的なデーターを提供しつつある。
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