2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440209
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小杉 信博 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (20153546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
初井 宇記 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40332176)
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Keywords | 偏光軟X線吸収 / 共鳴光電子分光 / 共鳴軟X線発光 / 逆供与結合 / ニッケル錯体 / 電荷移動遷移 / 内殻励起 |
Research Abstract |
本研究では、多様な物性を示す遷移金属化合物の内、遷移金属のまわりが二次元的に平面配位しているもの、とりわけ内殻分光(偏光軟X線吸収、共鳴光電子分光、共鳴軟X線発光)の実験データに乏しいd-π相互作用系など分子性配位子を有する遷移金属錯体に注目し、分子性遷移金属化合物の物性研究に内殻分光を応用するための基礎を確立させることを目的とした。3年間の研究で、特に、共有結合性の増加による逆供与が電荷移動遷移に強度を与えることがわかり、共有結合の証拠を内殻分光からはっきり示すことができた。 3年目である平成13年度は、以下の化合物の粉末試料、単結晶試料を調製し、測定を試みた。平面遷移金属錯体Δ-ΔNi(cyclam)Cl_2,NiPc,CuPc 非平面遷移金属錯体ΔΔΔTiCl4,Fe(CO)5 層状ボロカーバイドΔΔΔRB2C2 平面遷移金属錯体については一昨年、昨年と同じ系統なので測定、解析共に問題なかった。金属1sと2pの比較及び金属内殻と配位子内殻の比較から空準位の電子構造を明らかにでき、被占準位についても知見を得ることができた。しかし、非平面遷移金属錯体については再現性よい実験まで至らなかった。新しいグラフファイト類似層間化合物の希土類層状ボロカーバイドについてはホウ素、炭素の1s吸収の測定に成功し、金属と2次元面の相互作用を明らかにできた。 共鳴軟X線発光実験(ラマン過程)はスウェーデン・ルント大学の放射光施設MAX-IIにおいてウプサラ大学Nordgren教授グループとの共同利用実験として実施した。
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Research Products
(1 results)