2000 Fiscal Year Annual Research Report
細菌鞭毛レギュロンを制御するアンチ・シグマ因子輸送スイッチ装置の分子基盤の解明
Project/Area Number |
11440221
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沓掛 和弘 岡山大学, 理学部, 教授 (90143362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 整 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (90187443)
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Keywords | 細菌鞭毛 / 蛋白質輸送 / 形態形成 / アンチ・シグマ因子 / 突然変異体 / 分子集合 |
Research Abstract |
アンチ・シグマ因子の輸送スイッチは、フック完成をモニターしてそのシグナルを輸送装置に伝達する系と、そのシグナルに呼応して輸送装置の基質特異性をフック蛋白質からアンチ・シグマ因子へと変換させる輸送ゲートの2つのシステムから成り立っている。 1.flgD欠損株ではフックが形成できず、フック蛋白質が培地中に放出される。また、FlgD蛋白質はフック形成中はフック先端にあり、フック完成時に培地中に遊離する。これらのことは、FlgD蛋白質がフック完成モニター分子として機能しうることを示唆している。そこで、多数のflgD突然変異体について、それらの変異点を決定するとともに、フック蛋白質の輸送と集合に与える影響を検討した。その結果、FlgD蛋白質のN末側3分の1はフック蛋白質集合に関与し、C末側にはフック蛋白質の翻訳と輸送を促進する機能があることが判明した。これらのことから、フック完成モニター系はflgD遺伝子産物によるフック蛋白質の翻訳と輸送の共役に依存している可能性が高くなった。 2.輸送ゲートを構成するのはFlhBとRflH蛋白質である。このゲートの基質特異性変換のタイミングを知るため、フック形成のまったくない条件下でflhBとrflH突然変異のアンチ・シグマ因子の輸送に与える影響を解析した。その結果、この輸送ゲートはフック形成の初期段階に呼応して開閉していることが明らかになった。この事実は、アンチ・シグマ因子輸送スイッチがフック完成時をモニターしているのではなく、フック集合の開始をモニターしており、その時点で既に輸送装置に取り込まれているフック蛋白質だけが輸送されてフック形成に使われることを示唆するものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nambu,T.: "The Salmonella FlgA protein, a putative periplasmic chaperone essential for flagellar P ring formation"Microbiology. 146(5). 1171-1178 (2000)
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[Publications] Kutsukake,K.: "Bacterial flagellum : a paradigm for biogenesis of transmembrane supramolecular structures"Recent Research Developments in Microbiology. 4(2)(in press). (2000)
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[Publications] Iyoda,S.: "A flagellar gene fliZ regulates the expression of invasion genes and virulence phenotype in Salmonella enterica serovar Typhimurium"Microbial Pathogenesis. 30(2). 81-90 (2001)
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[Publications] Shimamoto,T.: "A cryptic melibiose transporter gene possessing a frameshift from Citrobacter freundii"Journal of Biochemistry. 128(in press). (2001)
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[Publications] Yamanaka,K.: "Mobile DNA II"ASM Press(in press). (2001)