2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440223
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70250496)
工藤 岳 北海道大学, 地球環境科学研究科, 助教授 (30221930)
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Keywords | 林冠開花性植物 / 林床性草本植物 / マルハナバチ / エゾエンゴサク / 繁殖成功 / 開花フェノロジー / 年次変動 / 個体群動態 |
Research Abstract |
今年度は樹木班,送粉者班,林床班においてそれぞれ以下の成果が得られた. 1.樹木班 前年に引き続き,樹木の開花結実量の変動を定量化した.また,開花結実量の変動の大きなアオダモとハクウンボクについては開花結実量の変動と貯蔵養分量の変動ならびに当年光合成量の関係を明らかにした.さらにハクウンボクについて光合成産物のトレース実験を行い、非繁殖シュートから繁殖器官への転流の重要性を明らかにした.これらのテーマに関して論文を公表し,学会発表も行った. 2.林床植物班 前年に引き続き,林床性草本植物の開花結実調査を行った.これらの植物は林内光環境に対応して異なる開花時期を持つ3つのグループに分けられ,グループ間で異なる繁殖特性を持つことを明らかにした.2002年の雪解け時期は例年よりもかなり早かったが,これに対応してエゾエンゴサクの開花時期も例年より早く,また結実率は非常に低かった.このことから,マルハナバチに送粉を依存する春植物の繁殖成功には雪解け時期や気温などの気象要因と,マルハナバチ女王の採餌活動性や個体群サイズなどの要因がともに大きく関与することが示唆された.この成果については工藤らにより投稿準備中である.また,林床性草本植物の開花・繁殖特性の季節的変動とマルハナバチ個体群動態の関係についても,現在投稿論文として取りまとめ中である. 3.送粉者班 前年に引き続き,エゾエンゴサク開花時期に標識再捕獲法による女王個体数調査を,ワーカー活動期には森林と草原でウィンドウトラップを用いたマルハナバチ採集を行い,マルハナバチの時空間変動を明らかにした.この成果に関して学会発表を行った. 以上各班から得られた樹木開花量,マルハナバチの個体数,およびエゾエンゴサクの結実量の3者の動態を含めた総合的な成果についても現在投稿論文として取りまとめ中である.
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[Publications] Kudo G., Maeda T., Narita K.: "Variation in floral sex allocation and reproductive success within Inflorescences of Corydalis ambigua (Fumariaceae) : Pollination efficiency or resource limitation?"Journal of Botany. 89. 48-56 (2001)
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[Publications] Ishida, K., Hiura, T.: "Mating system and population genetic structure of an androdioecious tree, Fraxinus lanuginosa in northern Japan"Heredity. 88. 296-391 (2002)
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[Publications] Miyazaki, Y., Hiura, T., Kato, E., Funada, R.: "eproductive allocation of storage matter in Styrax obassia in a masting year"Annals of Botany. 89. 767-772 (2002)