2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園池 公毅 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30226716)
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Keywords | 光合成 / 光化学系I / 光阻害 / 低温傷害 / 環境ストレス / 鉄イオウセンター / タンパク質分解 / 修復 |
Research Abstract |
1.分子遺伝学的アプローチ:前年度までに確立された2次元蛍光強度解析を用いたスクリーニング条件を用いて、実際にシロイヌナズナを用いてスクリーニングを開始した。2,500個体のスクリーニングの結果、蛍光変化に異常のある個体が3個体見つかったが、これらはいずれも低温傷害に関する変異株ではなく、常温でも変異を示す株であった。3個体のうち、2個体は形態にも異常を示したが、残る1個体の形態は全く正常で、通常の条件下では正常でありながら環境応答や制御メカニズムに異常のある変異株を単離するという本研究の目的に、このスクリーニング法が適していることが示された。今後は、得られた変異株の解析を進めると共に、さらなるスクリーニングを押し進める必要がある。 2.生理生化学的アプローチ:キュウリの低温傷害による光化学系Iの阻害と、常温に戻してからの分解・修復を検討した結果、従来から指摘されていた、常温に戻したあとに顕在化するクロロフィルの退色が、機能を失った光化学系Iの分解によるものであることが明らかとなった。この結果は、従来、障害の進行と認識されていた、クロロフィルの退色が、機能を失って植物体に悪影響を及ぼしかねない光化学系複合体を積極的に分解するという、むしろ障害の防御機構の一環である可能性を示唆している。障害の程度が異なるときに、クロロフィルの退色と、機能を回復できない光化学系Iの量が相関を示すことも上記の結果を支持するものである。
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