2000 Fiscal Year Annual Research Report
孔辺細胞におけるアブシジン酸シグナル伝達の分子機構
Project/Area Number |
11440235
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥山 尚志 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 教授 (40013338)
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Keywords | 孔辺細胞 / アブシジン酸 / プロテインキナーゼ / ABRキナーゼ / AAPK / AAPKキナーゼ / KAT1 |
Research Abstract |
Assmannらによってソラマメ孔辺細胞からクローン化されたAAPK(ABA-activated protein kinase)は、我々が報告したABRキナーゼ(ABA responsive protein kinase)と同一である可能性が高い。このcDNAにHis-tagを付加し大腸菌で発現させ、アフィニティー精製してHis-AAPK融合蛋白質を得た。この蛋白質はSDS-PAGEで遣伝子から推定される分子質量42kDaを与えたが、ミエリン塩基性蛋白質、カゼイン、ヒストンを基質とする活性測定ではプロテインキナーゼ活性を示さなかった。His-AAPKを免役したウサギ抗血清を用いて、ウェスタンブロッティングによりこの抗血清と免疫交叉する蛋白質のソラマメ組織ごとの分布を調べたところ、孔辺細胞特異的に検出された。しかしながら、この蛋白質の分子質量は48kDaであった。このことは、AAPKが翻訳後修飾を受けていることを示唆している。今後、免疫沈降によってソラマメ孔辺細胞で発現しているAAPKを単離し、グリコシル化やミリスチル化の可能性について検討する。 ソラマメ孔辺細胞プロトプラスト抽出液にHis-AAPKと[^<32>P]ATPを加えEGTA存在下でインキュベートすると、アブシジン酸(ABA)処理を行ったプロトプラスト抽出液にのみHis-AAPKのリン酸化が検出され、His-AAPKをリン酸化するプロテインキナーゼ(AAPKキナーゼ)が孔辺細胞に存在し、プロトプラストをABA処理することにより活性化されることが示された。His-AAPKリン酸化(すなわちHis-AAPKキナーゼの活性化)はABA処理後1〜2分で最大となり、その後低下した。この経時的変化は、既に報告したABA処理後5〜10分で最大になるAAPKの活性化に先立つものであり、AAPKはAAPKキナーゼによるリン酸化によって活性化を受けることを強く示唆している。これらのキナーゼを構成員とするプロテインキナーゼカスケードによって、孔辺細胞のKチャネルKAT1活性が制御されるものと推定される。
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Research Products
(1 results)