2001 Fiscal Year Annual Research Report
孔辺細胞におけるアブシジン酸シグナル伝達の分子機構
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11440235
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥山 尚志 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 教授 (40013338)
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Keywords | 孔辺細胞 / アブシジン酸 / プロテインキナーゼ / ABRキナーゼ / カルシウムチャネル / AtTPC1 / サリチル酸 / 活性酸素 |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)の受容から気孔閉孔に至るシグナル伝達の初発反応は[Ca^<2+>]_<cyt>の上昇であり、これを担うのはCa^<2+>チャネルである。シロイヌナズナゲノム情報を利用してAtTPC1のクローン化に成功した。AtTPC1の構造は、動物の電圧依存性Ca^<2+>チャネルαサブユニットの一般的構造である4ドメイン構造の丁度半分に相当する新規のチャネルであった。AtTPC1は酵母の仮想的Ca^<2+>チャネル欠損変異体cch1のCa^2取り込み活性を回復させた。また、エクオリンを導入したシロイヌナズナのショ糖応答性発光を利用した解析によって、AtTPC1は電圧依存性Ca^<2+>透過チャネルであることが間接的に証明された。 気孔を閉孔させることが知られているサリチル酸(SA)をソラマメ剥離表皮に与えると、活性酸素生成が検出され気孔が閉じた。この活性酸素生成はSHAMで抑制されたので、細胞外ペルオキシダーゼが関与する反応であると考えられる。活性酸素は孔辺細胞の[Ca^<2+>]_<cyt>上昇を引き起こすので、SAはABAと同様に、活性酸素生成に[Ca^<2+>]_<cyt>上昇が続くシグナル伝達系を介して気孔閉孔を導くものと考えられた。 AAPKKは、AAPK(=ABRキナーゼ)を特異的にリン酸化するプロテインキナーゼであり、孔辺細胞プロトプラストをABA処理した後1〜2分後に一過的に活性化する。AAPKKの分子量を求める為に、リコンビナントAAPKを基質としてゲル内活性測定法による検出を試みたが活性バンドを検出できなかった。ABA処理によってAAPKKが活性化されてAAPKをリン酸化して活性化し、次いでAAPKがKAT1をリン酸化すると考えられるので、ABA処理孔辺細胞を膜透過性SH基架橋剤MTSEAで処理することによって形成されるAAPK-AAPKKおよびAAPK-KAT1複合体のウエスタンブロットによる検出を試みた。AAPK-KAT1複合体は約250kDaの蛋白質として検出された。AAPK-AAPKK複合体については検出できなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mori, I.C., Uozumi, N., Muto, S.: "Phsophorylation of the inward-rectifying potasium chennel KAT1 by ABR kinase in Vicia faba guard cells"Plant and Cell Physiology. 41(7). 850-856 (2000)
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[Publications] Furuichi, T., Cunningham, K.W., Muto, S.: "A putative two pore channel AtTPC1 mediates Ca^<2+> flux in Arabidopsis leaf cells"Plant and Cell Physiology. 42(9). 900-905 (2001)
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[Publications] Mori, I.C., Pinontoan.R., Kawano, T., Muto, S.: "Involvement of superoxide generation in salicylic acid-induced stomatal closure in Vicia faba"Plant and Cell Physiology. 42(12). 1383-1388 (2001)