2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール表面改質のためのイオン照射下高温STM観察
Project/Area Number |
11450019
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大泊 巌 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063720)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 賢宏 早稲田大学, 理工学部, 助手 (30329099)
|
Keywords | シリコン / イオン照射 / 表面改質 / 走査トンネル顕微鏡 / 半導体表面 / 欠陥 / アルゴンイオン / ナノ改質 |
Research Abstract |
「アルゴンイオン照射によるシリコン表面のナノ改質効果解明の推進」 昨年度実績であるアルゴンイオン照射痕のアニーリングによる形状変化の解明を推し進め、一昨年度実績の低速イオン銃/高温超高真空STM複合装置(IG/STM)を用い、より高温なシリコン表面へのアルゴンイオン多数回照射過程をin-situ、リアルタイムで高温STM観察した。これは、イオン照射によって改質した直後の試料表面への、さらなるイオン照射による表面改質の観察であり、我々の装置によって初めて可能となる手法である。様々なイオン種、照射エネルギー、ドースレート下の試料表面ナノ改質効果を連続STM像同士の差分から読み取ることが可能である。今年度得られた結果を以下に示す。 高温(650〜750℃)シリコン基板では、イオン照射痕数の総ドース量に応じた増加よりも、初期に形成されたイオン照射痕を核とした各照射痕の拡大の方が起こりやすい。イオン照射痕はアモルファス状に形成されるが、設定温度における熱処理ではほとんど回復しない。多数回照射を重ねると、イオン照射痕の中心部に大きな欠陥構造が生成され、それを取り囲むように多くの小さな欠陥構造が生成される。その欠陥領域と7x7再構成領域とでは、お互いに干渉しあわず、表面の大部分が欠陥構造へ変化した後も、7x7領域は辛抱強く残り続ける。 イオン照射により、シリコン表面におけるテラスの拡大、アイランドの拡大が起こる。また、拡大によってステップ端がイオン照射痕を通過することもあるが、その際にそこでテラス成長が抑制される。ステップ端がイオン照射痕を回り込むように横切れたとしてもイオン照射痕は消滅せず、むしろ拡大する。 平行にステップの走るシリコン表面へイオン照射したところ、テラス内には照射痕が生成されず、ステップ端に集中して生成された。多数回照射を重ねると、各欠陥がテラスを抉るように成長するが、その底部構造はやはり平坦ではなくアモルファス状である。ステップ端の移動もまれに起こる。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] Koh M, Goto T, Sugita A, Tanii T, Iida, T, Shinada T, Matsukawa T, Ohdomari I: "Novel process for high-density buried nanopyramid array fabrication by means of dopant ion implantation and wet etching"JJAP. 40巻4B号. 2837-2839 (2001)
-
[Publications] Tatsumura K, Watanabe T, Hara K, Hoshino T, Ohdomari I: "Nucleation site of Cu on the H-terminated Si(111) surface"Phys. Rev. B. 6411巻11号. 5406 (2001)
-
[Publications] Tanii T, Goto T, Iida, T, Koh-Masahara M, Ohdomari I: "Fabrication of adenosine triphosphate-molecule recognition chip by means of bioluminous enzyme luciferase"JJAP. Lett.. 40巻10B号. L1135-L1137 (2001)
-
[Publications] Tanii T, Goto T, Iida T, Koh-Masahara M, Ohdomari I: "Simple Fabrication of Silicon Nanopyramids for High Performance Field Emitter Array"ABSTRACT OF THE 2000 INTERNATIONAL CONFERENCE ON SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS. 578-579 (2001)
-
[Publications] Shimada K, Ishimaru T, Yamawaki T, Uchigasaki M, Tomiki K, Matsukawa T, Ohdomari I: "High-temperature real-time observation of surface defects induced by single ion irradiation using scanning-tunneling-microscope/ion-gun combined system"JVST B. 19巻5号. 1989-1994 (2001)
-
[Publications] Watanabe T, Tatsumura K, Kajimoto A, Inaba Y, Ogura K, Ohdomari I: "Initial Oxidation Process of Si(001) Simulated by Using a Parallel PC System"SEMICONDUCTOR TECHNOLOGY 1. 242-246 (2001)
-
[Publications] 渡邉孝信, 辰村光介, 大泊巌: "分子動力学法によるシリコン酸化膜の大規模モデリング"表面科学. 23巻2号. 74-80 (2001)
-
[Publications] 大泊巌, 逢坂哲彌, 川原田洋, 西出宏之, 庄子習一, 堀越佳治, 大場一郎, 船津高志, 栗原進, 黒田一幸他: "モノ知りシリーズ トコトンやさしいナノテクノロジーの本"日刊工業新聞社. 160 (2002)
-
[Publications] 大泊巌, 大槻義彦, 加藤諦三, 松本和子, 尾島俊雄, ピーター・フランクル, 梅津光生, 伊藤滋 他: "理工文化のすすめ"東洋経済新聞社. 221 (2002)