2001 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体―半導体接合を用いたスピン偏極電子注入の研究
Project/Area Number |
11450023
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
河口 仁司 山形大学, 工学部, 教授 (40211180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 豊 山形大学, 工学部, 助教授 (00260456)
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Keywords | 半導体レーザ / 光双安定 / 面発光半導体レーザ / 偏光スイッチング / 3R中継 / 歪量子井戸 / スピン偏極電子 / スピン注入 |
Research Abstract |
面発光半導体レーザの発振偏光の双安定性の起源、および双安定性を用いた全光型信号処理、さらに、スピン偏極電子の半導体への注入に関する研究を行い、以下の点について成果を得た。 1.面発光半導体レーザの発振偏光の双安定性の起源 正方形の導波路構造をもつ面発光半導体レーザに存在する、偏光が直交する2つの固有モード間の双安定性について理論的に検討した。バルク活性層、多重量子井戸構造(MQW)活性層のどちらにおいても双安定性が存在し、圧縮歪をもつMQW活性層をもつ半導体レーザでは顕著になることがわかった。面発光半導体レーザでは、2つの固有モードに対し線形利得が等しいので、偏光双安定性を得るためには理想的な構造といえる。 2.全光型3R中継 面発光半導体レーザの偏光双安定性を利用した、全光型3R(Retiming,Reshaping,and Regenerating)を提案し、理論解析した。10Gbit/s,パルス幅25psの入力信号を用いた場合、約17dBの増幅度をもつ波形再生・増幅が実現されることがわかった。信号光の強度が弱く、クロック信号の強度が強い程、強度ゆらぎと時間ジッターが低減されるが、ON/OFF比が低下することがわかった。 3.スピン偏極電子注入発光ダイオードの作製 強磁性体電極によりスピン偏極した電子を活性層(p-InGaAs)に注入し、発光の偏光を制御することを目指した発光ダイオードを作製した。n側電極として、Co_<0.75>Cr_<0.25>薄膜をスパッタで成膜し、垂直磁化膜を作製した。しかし、この発光ダイオードにおいても発光が無偏光であることが分かった。同じ半導体構造を用い、光励起したスピン偏極電子のスピン偏極度は輸送後もかなり保持されていることが、我々のこれまでの実験結果からわかっており、GaAs/CoCr界面でスピン偏極が緩和されているものと推測される。
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[Publications] H.Kawaguchi: "All-optical signal processing using an ultrafast polarization bistable VCSEL"International Workshop on Optical Signal Processing. 26-28 (2001)
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[Publications] 山吉康弘, 河口仁司: "偏光双安定面発光半導体レーザを用いた全光学的3R中継器"2002年(平成14年)春季、第49回応用物理学関係連合講演会、講演予稿集. 29p-ZS-12(発行予定). (2001)
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[Publications] 河口仁司: "偏光双安定半導体レーザを用いた全光型信号処理(招待講演)"集積光デバイス技術時限研究専門委員会、「支笏湖ワークショップ」. (2001)
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[Publications] 河口仁司: "偏光双安定面発光半導体レーザを用いた光信号処理(招待講演)"第3回超高速光エレクトロニクス研究会. (2001)
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[Publications] 河口仁司: "光論理デバイスの現状と展望(招待講演)"第4回フォトニックスイッチングワークショップ. (2001)
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[Publications] 野原正光, 片山健夫, 山吉康弘, 河村裕一, 河口仁司: "スピン偏極電子の注入を目指した発光ダイオードの作製と評価"2001年(平成13年)応用物理学会東北支部、第56回学術講演会. 6pA12. 49-50 (2001)
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[Publications] H.Kawaguchi: "All-optical demultiplexing and format conversion using an ultrafast bistable laser diode"LFNM'2001. 56-60 (2001)