1999 Fiscal Year Annual Research Report
CuInS_2系薄膜太陽電池の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
11450137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊東 謙太郎 信州大学, 工学部, 教授 (20020977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 佳男 信州大学, 工学部, 助教授 (30262687)
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Keywords | 硫化物薄膜 / カルコパイライト型化合物 / ヘテロ接合太陽電池 / 光電変換効率 / 容量-電圧特性 / 電流-電圧特性 / 分光学的光応答 / dead layer |
Research Abstract |
前駆体としてCu-In-Cu-In-Cu-GaS_X積層膜〔Cu/(In+Ga)=1.2〕を用い、Cu(In_<1-X>Ga_X)S_2薄膜を硫化法で製作した。ここで、前駆体薄膜の温度を硫化温度まで上昇させるのに、通常の抵抗加熱炉および赤外線加熱炉を用いた。後者すなわちRTP(Rapid Thermal Process)の場合、温度上昇率を7℃/minまで、前者より一桁ほど高くすることができる。硫化物薄膜の表面には突起物の成長が少なくなり、比較的平坦性に優れた薄膜が得られた。なお、突起物の化学組成は周囲の母体の組成と比べるとよりIn過剰であった。表面が平坦な薄膜を光吸収体とするヘテロ接合太陽電池を製作し、12.3%までの変換効率を達成した。ここで、Gaの組成Ga/(In+Ga)は名目上0.1であったが、Mo被覆ソーダガラス基板の表面近傍に多く分布していることがXPS(X ray photoelectron spectroscopy)によるdepth profileの分析から分かった。 薄膜太陽電池の接合容量のバイアス電圧依存性を測定することにより、接合はMo被覆基板を用いたときには階段接合で、白金基板上を用いたときには直接傾斜接合で近似できることを明かにした。また、薄膜太陽電池の接合界面における電界強度の大きさが、太陽電池の開放電圧を決定する重要な要因であることを空乏層理論に基づいて明かにした。この結果から、白金箔基板上に得られた厚いCuInS_2薄膜を光吸収体とする太陽電池において、755mVまでの従来に比べてかなり高い開放電圧が達成されたことを説明できた。さらに、接合の形成に先立つ光吸収体表面の化学処理が、接合の光電特性や容量-電圧特性に与える影響について議論した。一部のGaドープCuInS_2薄膜太陽電池において、その分光学的光応答が波長の増加とともに増加することを中間波長領域で見いだした。これはヘテロ接合界面にn型dead layerの存在を仮定することで説明された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 伊東 謙太郎: "太陽電池とその性能"エレクトロニクス実装学会誌. 3・2. 158-165 (2000)
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[Publications] 伊東 謙太郎、橋本 佳男: "硫化物カルコパイライト薄膜太陽電池"三元・多元機能性材料研究会 平成11年度成果報告書. 印刷中. 1-4 (2000)
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[Publications] T. Ohashi, Y. Hashimoto, K. Ito: "Cu(In_<1-X>Ga_X)S_2 Thin Filn Film Solar Cells with Efficiency above 12%, Fabricated by Sulfurization"Jpn. J. Appl. Phys.. 38・7A. L748-L750 (1999)
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[Publications] K. Ito, N. Matsumoto, T. Horiuchi, K. Ichimo, H. Shimoyama, T. Ohashi et al: "Theoretical Model and Device Performance of CuInS_2 Thin Film Solar Cell"Jpn. J. Appl. Phys.. 39・1. 126-136 (2000)
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[Publications] T. Ohashi, Y. Hashimoto, K. Ito: "Solar Cells with Cu(In_<1-X>Ga_XS_2 Thin Films Prepared by Sulfurization"Technical Digest of the International PVSEC-11. 953-954 (1999)
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[Publications] K. Ito, Y. Hashimoto: "Cu-rich process of CuInS_2 solar cells"Proceedings of the second Magneto-Electoronics International Symposium. 133-136 (1999)
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[Publications] 電子情報通信学会編(委員長:宇都宮 敏男): "電子通信用語辞典 改訂版"コロナ社(3項目担当). (1999)