2001 Fiscal Year Annual Research Report
高精度風上解法に基づく洪水氾濫数値シミュレーションモデルの開発
Project/Area Number |
11450190
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋山 壽一郎 九州工業大学, 工学部, 教授 (20192916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUMAR・JHA Akhilesh 九州工業大学, 工学部, 助手 (00304858)
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Keywords | 洪水氾濫 / ダム破壊流れ / 非定常自由表面流 / 浅水流方程式 / 数値シミュレーション / 高解像度風上解法 / FDS |
Research Abstract |
【数値モデルの構築】 複雑な形状を有する氾濫原に対してより取扱いやすくするために、(1)氾濫原中に存在する計算セル以上の大きさの物体群や家屋群を取扱うためのFUF-2DF rmodel(Roeの数値流あるいはLax-Wendroffの数値流束を用いたFDS(流束差分離法)にRoeの近似ヤコビアンとHarten & Hymenのエントロピー条件を用いた2次元洪水流数値モデルをFVM化した2次元洪水流数値モデル)と(2)計算セル以下の大きさの物体群や家屋群を取扱うためのSA-FUF-2DF model(空間的にセル平均化されたFUF-2DF model)を組み合わせた、高精度な2次元洪水流数値モデルを構築した。 【実験研究】 (1)水没・非水没物体および地形形状の取扱いに関する実験 平面2次元モデルでは水没した物体や地形起伏は水路床勾配として処理する必要がある。しかし、高精度風上差分法のフレームワークの中でこれらをどのように処理すればよいのか、どの程度の予測精度が得られるのか、等については全くわかっていない。そこで、氾濫原の起伏やそこに存在する水没・非水没状態の物体群の洪水氾濫流に及ぼす影響や効果等をSA-FUF-2DF modelでどの程度再現できるのかについて検討を加えた。本研究で得られた(1)地形起伏がある場合、(2)地形起伏と比較的大きな水没・非水没物体群がある場合、および(3)地形起伏と比較的大きな水没・非水没物体群および小さな非水没物体群がある場合、の3ケースの実験データに対して、水面形状の比較および流況の比較を行い、SA-FUF-2DF modelがそのような極めて複雑な流れ場を良好に再現できることを示した。 (2)家屋等の物体に作用する流体力に関する基礎的研究 格子平均洪水氾濫シミュレーションモデルを構築するためには、洪水氾濫流によって樹林や家屋などの物体および物体群が受ける流体力を適正に評価する必要がある。そこで、定常自由表面流中に置かれた非水没状態の角柱の迎角を系統的に変化させ、その抵抗係数について調べ、自由表面せん断流中と一様流中での抵抗係数の違い、迎角が0゜〜45゜の範囲での抵抗係数と迎角との系統的な関係、blockage-ratioが3〜30の範囲での抵抗係数とblockage-ratioの関係、などについて新しい知見を得た。また、非定常性の強いダム破壊流れ中に置かれた角柱の抵抗係数について調べ、流速分布の特性、水深平均流速と水表面流速との流速比の関係、ダム破壊流れ中の角柱の抵抗係数の特性、抵抗係数を適正に表す無次元パラメター、などについて新しい知見を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.K.Jha, J.Akiyama, M.Ura: "First and second-order FDS schemes for free-surface-pressurized flow simulations scheme"Journal of Hydroscience and Hydraulic Engineering, JSCE. 19・1. 75-84 (2001)
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[Publications] A.K.Jha, J.Akiyama, M.Ura: "High resolution FDS schme on adaptive grid for open-channel flows"International Journal for Numerical Methods in Fluids. 36. 35-52 (2001)
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[Publications] 秋山壽一郎, 重枝未玲, 浦 勝: "非構造格子を用いた有限体積法に基づく1次および2次精度の平面2次元洪水流数値モデル"土木学会論文集. (第II巻5月号に掲載予定). (2002)
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[Publications] 重枝未玲, 秋山壽一郎, 浦 勝, 小林俊彦: "洪水氾濫流と構造物に働く流体力の数値シミュレーション"水工学論文集. 46. 833-838 (2002)
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[Publications] 秋山壽一郎, 重枝未玲, 小林俊彦, 大田和正: "定常自由表面流中の正角柱に働く流体力"水工学論文集. 46. 827-832 (2002)
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[Publications] M.Shigeeda, J.Akiyama, A.K.Jha, M.Ura, Y.Arita: "Numerical simulations of flood propagation in a floodplain with structures"Journal of Hydroscience and Hydraulic Engineering, JSCE. (in press). (2002)