2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本の城下町都市における近世近代の都市住宅に関する研究
Project/Area Number |
11450228
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
大岡 敏昭 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (10131963)
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Keywords | 城下町都市 / 近世の武士住宅 / 近代の都市独立住宅 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、東日本の太平洋側と中部地方の城下町都市の近世近代の都市住宅の調査であった。そこで、それらの地域の各都市を予備調査した結果、仙台市、八戸市、松本市、飯田市の4市に対象とする住宅の史料または現存住宅があり、その4都市を調査した。その結果、八戸市、松本市、飯田市の旧城下町に存在した武士住宅は、仮説1の通り、道に座敷を面する正面型であることが判明した。また、仮説2の表庭と裏庭の2つの庭を設けていること、さらに仮説3の道路を基点として、表庭-表空間(座敷)-裏空間(居間など)-裏庭、といったタテ方向の空間の連続性も確かめられた。ただし、仙台市の武士住宅については、1例の史料が残っているだけであり、その平面は仮説1に反する背面型であった。 次に、近代の都市住宅は、全ての都市で北入りであれば南に座敷を設ける背面型に変化していた。江戸時代の武士住宅の正面型の原理は、この4都市では継承されてはいなかったのである。また、中廊下は仙台市の住宅の半数程度にみられるだけで、ほとんど導入されていないというのが実態である。しかも、その仙台市の住宅にしても、中廊下の半数は地方都市独自のタテ中廊下である。したがって、木村氏が示した近代都市住宅の中廊下型の学説は、この東北の地方都市においてはまったく実証されず、東北地方の近代住宅の実相は、その学説とは違って、別のところにあったとみるべきである。それは広間型の原理の継承である。 以上の調査分析は、2001年6月の建築学会東北支部研究報告に発表している。
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