2001 Fiscal Year Annual Research Report
有機・無機ハイブリッド膜におけるセル構造の発現と制御
Project/Area Number |
11450243
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 修一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00235574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 哲司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90221647)
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Keywords | セルパターン / 有機・無機ハイブリッド膜 / 水分の影響 / 超粒子 / マランゴニ対流 / 膜厚 / アミノ基 |
Research Abstract |
ディッピング法により作製した数ミクロン厚の有機・無機ハイブリッド膜には,添加したTiO_2濃度(最大50モル%)やZrO_2濃度に依存して,セル状のパターンが形成されることを明らかにしてきた。また,このセルの発現には,薄膜作製時の雰囲気中の湿度が重要な要因である。 本年度は,このハイブリッド膜におけるセル発現が,TiO_2, ZrO_2含有ゾル以外の添加物や組成においても起こりうるものかどうかについて検討した。さらにどの様な因子に依存しているのかについて明らかにするため,ゾルの光学特性や原子間力顕微鏡による観察を行った。 得られた知見は以下の通りである。 1.TiO_2やZrO_2の原料であるチタンイソプロポキシドやジルコニウムブトキシド以外にも,アミノ基を有する添加剤(APTS:アミノプロピルトリメトキシシラン)の添加によっても同様にセルの発現が見られることを確認した。 2.ゾルにAPTSを添加した場合,反応時間の進行とともにセルパターンの明瞭化が見られた。原料ゾルには添加によって,光散乱体(超微粒子の発生)が生じ,その強度はAPTS添加からの経過時間に依存していることがわかった。 3.原子間力顕微鏡によって,セルの凹凸(数十ナノメータ(8160)16数百ナノメータ)を測定し,セルの明瞭化と凹凸の大きさに相関関係があることを明らかにした。 以上の結果から,このセル発現は,薄膜原料であるゾル中に光散乱体(ナノメータのサイズの超微粒子)を生じる原料が添加された時に起きる一般性に富む現象であることが判明した。APTSの場合は,Siアルコキシド原料から生じるSiO_2超微粒子であるものと推定している。
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[Publications] 富沢篤史, 柴田修一, 吉川英見, 矢野哲司, 山根正之: "有機・無機ハイブリッド膜におけるセル構造の発現"Annual Meeting of The Ceramic Society of Japan, 2001. 予稿集. 304 (2001)