2000 Fiscal Year Annual Research Report
可視光で可逆的に光誘起構造変化をする酸化物のラマン散乱による探索と機構解明
Project/Area Number |
11450246
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (50233664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 実 東京工業大学, 理化学研究所, 基礎科学特別研究員
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Keywords | ラマン散乱 / 酸化物 / 可視光 / 光誘起構造変化 / 酸化物超伝導体 / 可視的構造変化 |
Research Abstract |
本研究では、光誘起構造変化をする酸化物を探索する手法の確立を目指した。夥しい種類の酸化物の中から新たな候補物質を選ぶには、光によって誘起される微妙な構造変化を精密にモニターしなければならない。特定の可視光で構造変化する酸化物を探索し、その機構を解明するために、ラマン分光計に様々な波長で発振する各種レーザー(Kr,色素,Ti-サファイアなど)をラマン散乱の光源として、構造変化を『その場』観察しながら、光と物質間の相互作用の大きさを見極め、候補物質の絞り込みを行った。その中から発見されたのが酸素がわずかに欠損したYBa_2Cu_33O_x(以下Y123と略する)であった。 Y123系における光誘起構造変化の機構を解明するために、(1)現象が結晶の構造のどこの部分で起きているのか、また(2)どの電子遷移が現象の本質に関係しているのか、を明らかにした。ラマン散乱は、特定の原子団に関与する振動モードを独立に観測できるので、スペクトルの特定モードの変化から光誘起構造変化の舞台を特定することが出来た。その結果、現象の舞台は一次元のCuO鎖であることが明らかになった。一方、光による電子励起が引き金となって発生する『光誘起構造変化』の機構を解明するために、波長363nmの近紫外光から波長400-800nm領域のさまざまなエネルギーの可視光をラマン散乱の励起光源として用い、現象を引き起こすのに必要なエネルギー閾値を2.15eVと求め、電子遷移の起源は分子状Cu-O間の電荷移動に対応するものであることが明らかになった。
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[Publications] M.Kakihana,M.Osada: "Raman scattering in YBa_2Cu_4O_8 and PrBa_2Cu_4O_8 : Indications of pseudogap effects in nonsuperconducting PrBa_2Cu_4O_8"Physical Review B. 61. 7049-7054 (2000)
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[Publications] M.Kakihana,M.Osada: "Raman spectroscopy as a unique tool for characterizing high-Tc superconducting oxides"Physica C. 338. 144-150 (2000)
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[Publications] M.Kakihana: "Raman active modes in Nd_2BaCu_3O_2 compound"Physica C. 338. 151-156 (2000)
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[Publications] M.Osada,M.Kakihana: "Resonant Raman scattering and photoinduced metastability in oxygen-deficient YBa_2Cu_3Ox"Physica C. 338. 157-160 (2000)
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[Publications] M.Osada,M.Kakihana: "Raman-active phonons and their doping dependence in spin-ladder Sr_<14>Cu_<24>O_<41>"Physica C. 338. 161-165 (2000)
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[Publications] M.Osada,M.Kakihana: "Photoinduced Metastability in YBa_2Cu_3Ox studied by in-situ Raman scattering"Physica B. 284-288. 681-682 (2000)