2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11450261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎 学 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70201960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 輝雄 工業技術院, 産業技術融合領域研究所, 所長(研究職)
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Keywords | 金属間化合物 / 積層材料 / 力学特性 / 破壊機構 / 複合材料 |
Research Abstract |
本年度は、まず強度特性に優れた金属/金属間化合物積層材料を作製についての検討を行った。燃焼合成法を用いた金属/金属間化合物積層材料の作製においては、金属間化合物相中に空孔ができる問題がある。そこで本研究ではNi/NiAl積層材料におけるNi層を改質するために、熱処理を施した試料を作製し、力学特性を向上させることを目的とした。出発材としてNi箔とAl箔を用い、ホットプレスによる反応焼結を利用してNi/NiAl積層材料を作製した。また作製された積層材の一部を600℃で60分間熱処理した。NiAl層の厚さがほぼ同じ約18mmでそれぞれの金属間化合物層の体積比率はV_<NiAl>=37、43、57%である。引張り強度は全般に熱処理を施すことによる向上が見られ、V_<NiAl>で比べると43%の試料が最も高かった。引張り試験後の試料側面写真からは、未熱処理材では金属層にもき裂が見られるのに対し、熱処理材では金属層にき裂は見られなかった。このような金属層での破壊形態の違いから、熱処理によるき裂進展抵抗の増加が期待される。 さらに延性/脆性積層材料設計の際最高の力学特性を発揮させるため、単一面き裂と多重き裂の破壊形態をコントロールする因子を数値解析的に調べた。き裂生成の応力拡大係数および破壊抵抗(R-curve)のようなダイナミックなき裂進展挙動をin-situに取り扱える手法を開発した。本研究で計算された均一面き裂から多重き裂へ遷移する臨界厚さ比は、実験の報告値と一致してこの手法の妥当性が検証された。延性層の加工効果は多重き裂の方に有利であり、脆性層の圧縮残留応力はき裂進展抵抗を向上させることが分かった。また、高いアスペクト比により確実に延性層のブリッジングが得られる延性/脆性積層材料の破壊挙動から、延性層の改質による物性向上の可能性が明らかになった。
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[Publications] 榎学,太田温子,鄭棟碩,渡邊誠,岸輝雄: "Ti/Ti-Al積層材料におけるき裂進展挙動"日本金属学化誌. 64(11). 1076-1081 (2000)
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[Publications] 朴永朝,榎学,須賀唯知,岸輝雄: "Al/サファイヤ常温接合体の界面欠陥成長に関する破壊力学的考察:はく離試験および有限要素法による解析"日本金属学化誌. 64(6). 444-450 (2000)
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[Publications] 朴永朝,榎学,須賀唯知,岸輝雄: "Al/サファイヤ常温接合体の引張り特性および界面欠陥成長の有限要素法による解析"日本金属学化誌. 64(8). 684-690 (2000)
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[Publications] 朴永朝,榎学,須賀唯知,岸輝雄: "Al/サファイヤ常温接合体における熱処理および接触変形による残留応力の破壊挙動への影響"日本金属学会誌. 64(8). 691-697 (2000)