2000 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼材料の耐食性を支える不動態皮膜の安定性に及ぼすアニオン吸着の影響
Project/Area Number |
11450266
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大塚 俊明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20113532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 幹人 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00292053)
能登谷 武紀 北海道大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50001251)
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Keywords | 不動態皮膜 / 耐食性 / チタン / 半導体電極 / ルミネッセンス / バンド・ギャップ |
Research Abstract |
1.目的 構造材として使用される金属上の不動態皮膜は,古くからその存在は明らかになっているが,未だ確固たる構造,組成などは明らかになっていない。申請者らは,以前から,この数nmオーダーの酸化物皮膜に関して,種々の光学手法,電気化学手法を通じて,限定された系ではあるが,厚さ,構造,組成を明らかにしてきている。陰イオンが表面不動態皮膜に及ぼす影響は,吸着過程を通じて起こるとの説が有力であるが,測定手法が確立されたない無いため未だ確証は得られていない。本研究は吸着に伴う酸化物表面の電子準位情報を光学手法(ルミネッセンス測定,電位変調反射測定)から調べ,吸着過程による皮膜の物性変化を求めようとするものである。 2. 結果 チタン電極のアノード酸化物薄膜からの光励起ルミネッセンス発光を測定した。チタンのアノード生成酸化物として考えられているTiO_2のバンド・ギャップ以上のエネルギーを持つCd-Heレーザ光を用いて励起すると;酸化物薄膜からの微弱な発光が見られた。この発光のエネルギーはそのピークエネルギーが約3.1eVであり,TiO_2のバンドギャップに対応し,以前のラマンスペクトル測定結果を裏付けている。発光強度は大きく酸化電位に依存するとともに発光ピークエネルギーがわずかに酸化電位とともにシフトする。発光強度の電位依存性は薄膜の電位とともに起こる非晶質-結晶の遷移に対応していると考えられる。エネルギー2eV付近にさらに微弱な発光が観察されるが,あまりにも弱いので未だ定量的な結果は得られていない。この弱い発光は吸着陰イオンに依存すると予想されるので,種々の陰イオン存在下で測定中である。
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[Publications] Toshiak Ohtsuka: "Potential Modulation Reflectance of Passivated Iron and Nickel."Proc.International Symp.in Honor of Professor Norio Sato : Passivity and Localized Corrosion, The Electrochem.Soc., Inc., NJ, USA. 200-204 (2000)
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[Publications] Toshiaki Ohtsuka: "UV Light Induced Change of Anodic Oxide Films on Titanium in Acidic Sulfate Solution"Proc.International Symp.in Honor of Professor Norio Sato : Passivity and Localized Corrosion, The Electrochem.Soc., Inc., NJ, USA. 330-336 (2000)
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[Publications] Jun Ito: "The Influence of Oxide Layers on Initial Corrosion Behavior of Copper in Air Containing Water Vapor and Sulfer Dioxide"Corrosion Science. 42・. 1539-1551 (1999)
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[Publications] Mikito Ueda: "Luminescence from Band-gap Photo-excitation of Titanium Anodic Oxide Films"Corrosion Science. 43・(印刷中). (2001)