2000 Fiscal Year Annual Research Report
計測データの逆解析による環境劣化割れの微視的メカニズムの解明
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11450278
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
竹本 幹男 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40082838)
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Keywords | ラム波 / 円筒波 / 波形シミュレーション / 応力腐食割れ / 水素脆性割れ / 電位振動 / 一括応答関数 / 逆解析 |
Research Abstract |
中実丸棒や円筒を伝播する分散性誘導波AEの定量解析法を完成させた。すなわち、表面に設置した1個のAEセンサーで検出した波から、音源位置を評定する方法を確立するともに、初動Loモードの波形マッチングによって微小破壊のダイナミックスを推定する方法を完成させた。この方法によって、丸棒や円筒試験片の環境劣化割れのダイナミックスが解明できるようになった。その結果、高強度鋼丸棒(PC鋼棒)の遅れ破壊中の微小割れは、レイリー波速度(1500m/s)に近い速度に達し、波動エネルギーを保持できなくなるため破面に垂直な方向のサブクラックを発生させることなどが明らかになった。高速破壊による誘導波AEは、分散性波動として検出されるので1MHz程度の市販共振型AEセンサーでも必ず検出でき、実体波AE解析では解析できなかった超高速破壊のダイナミックスが明らかになった。このような高速破壊は、ゆっくりした水素の拡散では説明できないことを示唆している。 一方、APC型SCCでは、SUS304鋼の塩化物SCCを取り上げ、粒界型SCCと粒内型SCCによるAEと電位振動をモニターした。破壊タイプによってダイナミックスがかなり異なり、粒内SCCではAEは検出されないが、粒界破壊ではAEが検出されることを明らかにした。この実験では、PVD法で堆積したTiN皮膜の破壊(基材すべり)による電位振動を計測し、これをAE解析から求まる膜破壊のダイナミックスで逆畳込み積分(時間領域ガウスザイデル逆畳込み積分)して電位振動の一括応答関数を求めた。TiN膜が1.5μs以下の高速破壊をしても、電位は9.3mV/s程度の遅い変動しか示さないことから、電位振動から高速SCC破壊を解析するには限界があることが判った。電位振動については、これまでフーリエ変換による周波数スペクトル変動が議論されてきたが、ウエーブレット変換を用いて時間-周波数領域の解析をおこなった。その結果、SCC潜伏期では0.2Hz以上の周波数成分が支配的であるのに対し、粒界型SCC伝播期間では0.2Hz以下の成分で占められていることが明らかになった。また、AEの検出されない粒内型SCCにおける電位振動は、粒界型SCCで観察される周波数よりもはるかに小さいことが明らかになった。卑方向への電位振動では、特に初動の周波数成分に注目すべきことがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 竹本幹男,正木龍士,田中栄吉: "7MHz帯域AE波形シミュレーションとレーザー励起縦波速度モニタリングによる遅れ破壊のダイナミックスと前駆過程"材料と環境. 49-4. 235-242 (2000)
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[Publications] 正木龍士,竹本幹男,小野桓二: "AE原波形のための高速音源-シリコングリースのパルスレーザーブレークダウン"非破壊検査. 49・5. 318-324 (2000)
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[Publications] S.Fujimoto,M.Takemoto and K.Ono: "AE Monitoring of Chloride Stress Corrosion Cracking of Austenitic Stainless Steel"Progress of Acoustic Emission. X. 129-134 (2000)
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[Publications] F.Uchida,H.Nishino,M.Takemoto and K.Ono: "Cylinder Wave Analysis for AE Source Location and Fracture Dynamics of Stress Corrosion Cracking of Brass Tube"Progress of Acoustic Emission. X. 141-146 (2000)
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[Publications] H.Nishino,S.Takashina,F.Uchida,M.Takemoto and K.Ono: "Modal analysis of Hollow Cylindrical Guided Wave and Application"Japan, J.Applied Physics. 40. 364-370 (2001)