2000 Fiscal Year Annual Research Report
室温におけるγ-Fe単結晶薄膜作成プロセスと表面化学特性
Project/Area Number |
11450280
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田山 智正 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20184004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 有尹 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005502)
|
Keywords | γ-Fe / 分子線エピタキシ / 一酸化炭素 / Cu / IRRAS / RHEED / LEED / MBE |
Research Abstract |
Feの常温相は周知のようにbcc構造(α-Fe)であるが、Cu単結晶を基板としFe薄膜を分子線エピタキシ(MBE)法により堆積するとfcc構造を有するγ-Fe薄膜が常温で成長する。そこで本研究では、MBE法によりCu(100)、(111)基板上にfcc-Fe薄膜を堆積し、その表面における一酸化炭素(CO)の吸着・脱離挙動を高感度反射赤外分光法により、また吸着COの表面構造を低速電子線回折(LEED)を用いて検討した。 実験は、超高真空チャンバー中でAr^+スパッタ・アニールを繰り返したCu単結晶基板上にFe薄膜をMBE法により堆積した。Feのエピタキシャル成長は高速反射電子線回折(RHEED)図形から確認し、堆積層数(ML)はRHEEDスポット輝度強度の時間変化より推定した。Fe薄膜堆積後表面の清浄度並びに格子構造をオージェ電子分光法(AES)およびLEED測定に基づいて評価した。得られたFe薄膜に対してCOを90Kで暴露し、高感度反射赤外スペクトルをフーリエ変換赤外分光器(Mattoson;RS2)を用いて測定した。 結果: 昨年度のCu(100)基板に引き続き本年度はCu(111)も併せて基板としMBE法により堆積層数を変化させたFeエピタキシャル薄膜表面にCOを飽和吸着させた場合の赤外スペクトルに基づき以下のことを推定した。 (1)Cu(100)基板:本年度は主としてLEEDによるCO吸着構造に関する測定を行った。その結果、基板温度90KでCOを導入するとFe薄膜表面吸着COは、Cu(100)清浄表面で見られるようなc(2x2)をとらずランダムに吸着するのに対して、室温導入時はc(2x2)構造化観測された。このc(2x2)構造が吸着COによるものかそれが解離した生成物によるものかは現状では不明である。 (2)Cu(111)基板:RHEED像から堆積Fe薄膜の構造を検討すると、薄膜構造は1-4MLの範囲でfcc、4-8MLでfcc+bccあった。それ以上の層数では完全にbcc構造のみとなった。またRHEED輝度の堆積時間依存性はCu(100)上ほど明確ではなくFe薄膜は島状成長に近いことが示唆された。 RHEEDから推定されるFe表面構造の変化(fcc→bcc)によく対応して飽和吸着時のCOの赤外バンド位置は2000cm^<-1>から2032cm^<-1>へと変化した。またLEED測定結果からは吸着COが規則構造をとっていないことがわかった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Tanabe,T.Shibahara,R.Buckmaster,T.Ishibashi,T.Wadayama and A.Hatta: "Infrared spectral study of CO adsorption on molecular beam epitaxially grown fcc iron films on Cu(100)."Surface Sci.. 466. 1-10 (2000)
-
[Publications] T.Tanabe,R.Buckmaster,T.Ishibashi,T.Wadayama,A.Hatta: "Infrared reflection absorption spectral study for CO adsorption on molecular beam epitaxially grown Fe films on Cu(111)"Surface Sci.. 472. 1-8 (2001)