1999 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡MDと量子化学計算による無機膜の透過機構の解明と分子設計
Project/Area Number |
11450291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新田 友茂 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (00029480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英明 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (10291436)
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Keywords | 無機膜 / 炭素膜 / 分子動力学 / 非平衡 / 量子化学計算 / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は、機能性材料として多くの可能性を有する無機膜の透過機構を解明するとともに、その分子設計の方法論を試行的に確立してゆくことである。 分子シミュレーションでは、細孔構造の異なる3つの炭素膜 (菱形、ジグザグ型、平滑スリット型モデル) を創り、メタンとエタンの透過現象を計算し、次のような知見を得た。(1)計算した系の透過機構は選択的な吸着、膜内拡散抵抗、膜出口の透過抵抗の3つの因子で説明できる。(2)菱形とジグザグ型の膜では細孔内の拡散抵抗と出口抵抗が大きいが、平滑スリット型の膜では出口抵抗が支配的である。(3)吸着力が強い成分の拡散速度が弱い成分よりも速いような組み合わせが最適である。しかし、メタン、エタンのようによく似た分子ではこのような膜構造を探すのは難しい。 量子化学計算による膜表面の修飾法に関する研究を行い、次のような知見を得た。(1)Mg_8O_8 クラスターで表現されたMgO(001)表面とCO_2 との最安定吸着構造は、CO_2のC原子がMgOのO原子上に吸着するCO_3 型である。(2)CO_3 型吸着においては、酸化マグネシウムクラスターから二酸化炭素への電荷移動相互作用が支配的な安定化因子である。(3)電荷移動相互作用を増大させる為に、二つのMg原子をより陰性の小さなCa原子で置き換えると、電荷移動が促進され、結果として吸着エネルギーも増加した。(4)分子間相互作用エネルギーをいくつかの項に分解し、支配的な安定化因子を促進するような原子、分子団を表面に導入するという化学修飾の指針を提案し、この指針が二酸化炭素-酸化マグネシウム系に対して有効であることを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古川信一: "非平衡分子動力学法を用いた無機膜の気体透過挙動の研究"化学工学シンポジウムシリーズ. 66. 110-114 (1999)
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[Publications] Shin-ichi Furukawa: "Non-equilibrium MD Studies on Gas Permeation through Carbon Membranes with Belt-like Heterogeneous Surfaces"Journal of Chemical Engineering of Japan. 32(2). 223-228 (1999)
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[Publications] Hideaki Takahashi: "Chemical Modification of MgO(001) Surface by Utilizing Energy Decomposition Analyses for the Purpose of CO_2 Adsorption"Bulletin of Chemical Society of Japan. 73. 315-319 (2000)
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[Publications] Shin-ichi Furukawa: "Simulation Performance of Non-Equilibrium Molecular Dynamics Method using Density Difference as Driving Force"Molecular Simulation. (in press).