2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11450295
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿尻 雅文 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60182995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 剛史 東北大学, 大学院・工学研究科, 研究機関研究員
陶 究 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60333845)
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Keywords | 超臨界水 / 分光法 / 水素結合 / 含窒素有機化合物 / 反応速度 / 反応機構 / トレハロース / 局所水和構造 |
Research Abstract |
超臨界水中での加水分解の反応速度の評価及び反応機構の解明は、超臨界水を反応溶媒とする化学反応技術の構築のためには必要不可欠な知見である。本研究では、加水分解機機構の解明、反応速度の温度圧力依存性、加水分解の基質依存性(局所構造)の評価の観点から、超臨界水中での反応特性の理解を目的とした。昨年度は、in-situ紫外可視分光装置を用いた溶質周囲の水和構造と温度圧力依存性の評価から、臨界点近傍の水蒸気様の超臨界域でも若干の水和構造が保持されることを見出した。また、セロビオースの加水分解速度の測定及び反応速度の温度圧力依存性を評価した結果、臨界温度近傍の超臨界水中での溶質周囲の水和構造の形成が示唆された。本年度は、以下の2点について研究を行なった。 1)昨年度開発したin-situ UV-vis分光装置を用いて、高温高圧水中でのキノリン、ピリダジン、ピラジンの吸収スペクトルの波長の温度圧力依存性を評価した。溶媒物性とスペクトルシフトとの関係についてMcRae Bayliss理論による比較から、溶質周囲の水和および溶質のN原子と水分子間の水素結合の評価を行った。亜臨界領域では、水素結合は水密度減少とともに減少し、その減少の割合は溶質種の依存性は認められなかった。さらに、この傾向は中原らのNMRによる超臨界水の水分子間水素結合の評価結果と良好な相関が得られた。 2)セロビオースとは異なる一糖類(トレハロース)を用いた流通式装置による加水分解速度の測定及びその温度圧力依存性を評価したところ、超臨界水中では水密度の増大とともに加水分解速度は増大し、また、セロビオースの場合と同様に糖と水分子の二分子反応で進行することが示唆された。 以上、超臨界水中での加水分解反応は、水の直接攻撃機構により進行すること、また臨界点近傍での反応速度の評価には、基質周囲の局所水和構造の理解が重要であることを明らかとした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 佐々木満, 岩崎恵子, 浜谷徹, 阿尻雅文, 新井邦夫: "セルロースの超臨界水可溶化処理による高速酵素加水分解"高分子論文集. 58(10). 527-532 (2001)